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内面を愛して、夫婦になる。「笑顔なし」の夫婦写真がとても素敵だった話

写真を見てはじめて涙が出たのは、数年前の母の日、宮本直孝さんによる、ダウン症の子と母の写真展を見たときのこと。

そのときと同じ表参道駅のコンコースで、宮本さんによる #いい夫婦の日  の展示があるというので見に行ってきた。 

今回の展示の被写体は、顔のアザや変形など、外見に症状がある人とそのパートナー。テーマは、「夫婦の感謝」。

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宮本さんは今回、夫婦の内面に目を向けるために、あえて笑顔の写真を撮らなかったそうだ。

宮本さん:「表面的な笑顔では、内面は写せない。」
「内面を写真に収めようと、一生懸命に目から感情を読み取ろうとするうちに、外見の症状はまったく気にならなくなっていきました。外見よりも内面を重視して、2人は夫婦になったんだなと感じました」

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素敵なのは、夫婦のなかの1人がこんなコメントをしていること。

「夫は外見よりも、私の人柄を重視してくれました。性格がぴったりあって、外見にも愛着を抱いてくれました。写真を通し、夫が私のことを本当に大事にしてくれるのが伝わり、夫と結婚してよかったなと改めて思いました。感謝の気持ちや思いやりを夫婦で共有していることが確認できました」

笑顔もない、お互いを見つめているわけでもない、なのに、言葉では表現できないような互いへの想いがそれぞれの表情にあふれていて、写真を見つめているうちにじんわりと涙が出てくる。

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愛とは?パートナーシップとは?コンプレックスとは?これらの問いに対していくら言葉をつくして説明しても、この写真の前では薄っぺらくなってしまいそうだ。

「笑顔」や「言葉」で表現されるものは、わかりやすい。

一方で、わかりやすさゆえにかえって覆い隠されてしまったり、表現しきれずにこぼれ落ちてしまったり、そんな繊細な気持ちや想いも、人と人とのあいだには流れているのだと思う。

それは「見る」というより「感じる」という類いのもので、はっきりとした形や手ざわりを持たず、でも確かに存在している。

宮本さんは、夫婦のあいだに流れる繊細なものをじっと感じてすくい上げ、写真に乗せるようにして表現しているのかもしれない。それはいわゆる「感謝」「思いやり」、そして「愛」と呼ばれるものだ。

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いろいろなフィルターを払って目の前の人をまっすぐ見つめると、こんな風に写るのだなあ。

私もいつかこんな写真を撮ってみたいと思うけれど、まだまだ人間力が足りないな。

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#diary #いい夫婦の日 #フォトグラファー #エッセイ #コンテンツ会議 #宮本直孝

引用元:「見た目は特徴的かもしれない、だけど」夫婦の写真展、笑顔ない理由withnews


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