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ひきこもる本人とうまくやっていく①
私は普段から、ひきこもる本人に関する家族相談も多く受けています。以前はご本人に対する訪問も頻繁に行っていました。
ながくひきこもる本人に対して、ご家族の悩みは様々です。
機嫌がよい時は本当に普通。なのにどうして相談に行けないのだろう。
夫はまた仕事のことを娘に言っている。私も心配なのは同じだけど、夫のような言い方では怖がるばかりで、何も解決しない。どうしてそんな言い方するのだろう。娘のことでは、夫との関係もギクシャクする。
長男がシャワーを浴び始めると、1,2時間は浴室を占拠する。また次男と喧嘩しないか心配だ。二人の間に立って調整役をするのも、もう疲れたな…
些細なことで怒り怒鳴る。いつまでも過去の恨み言を言う。数日は口をきいてもらえない。言いたいことを言えない。私は、ただ穏やかに話せるようになりたい。
働いてもらうのはもうあきらめた。せめて同年代の人たちのように人生を楽しんだらいいのにと思う。
本人が30代までで割と若年の場合、できることからでいいから仕事をしてほしい、といった、就労に関する悩みが多いように感じます。
40代以上だと、就労に関することというよりも、本人とのパワーが逆転してきて、本人が怒らないように、なんとかうまく暮らしていきたい、元気なうちに、暮らしのめどを立てておきたい、といったものが多くなる印象があります。ときに深刻なのは、暴力を伴うような場合です。
いずれの世代も、
「もっとこうすればうまくいくのに」
「もう少し融通きかせればよいのに」
「そんな些細なこと気にしなくていいのに」
と家族は願っています。でも、多くの場合、その家族の願いが、本人が最もできないことなのです。
では、なぜできないのでしょうか。
「なぜできないのか」の、ご本人の心理的背景は様々です。知的なバランスの偏り、ストレス脆弱性、いじめによるトラウマ、対人恐怖傾向。このようなご本人の心理的背景を、家族相談から推測し、そのアセスメントをもとによいかかわりをご本人と持つことで、ご本人を相談場面に連れ出せる可能性が高まります。ご本人がいらっしゃらなくても、様々な支援を利用する、ケースワークが可能になります。
ご家族はあまりに本人のことが心配で、ついついできないことを求めてしまったり、本人の反応を恐れていいたいことを我慢してしまっているたりしているので、本人との関係が悪化し、本人が怒りだしたり、就労を進めてばかりいる別の家族(多くはお父さん)との関係がギクシャクする、の悪循環を招いています。したがって、問題に気付いているご家族による、コミュニケーションスキルの相談も、有効だと思います。
ご本人の性質に合わせたかかわり方や、心理療法は、他のノートで触れていきますので、ご覧ください。
(矢田の丘相談室 田中 剛)
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