スーヴァンカム・タンマウォンサ

Sisouvanh Thammavongsa女史、はっきり言って、綴りも読みも覚えられない… 本当に無礼なことだが、彼女は日本であまり知られていないと思う。ラオスからの亡命家族の子どもで大学に進学したファーストジェネレーションのカナダ人。文学賞の受賞歴のある、詩人、短編小説家である。

今日は彼女の記事が雑誌The New Yorkerのトップに出てきたので読んだ。

読みやすい文体、そして共感のもてる内容… 決して同じような経験をした訳ではないが、弟を失った過去が私にもあるからかもしれない。感情をストレートに表現する簡素ではあるが巧みな言い回し。雑誌The New Yorkerの記者がよく使う「metonymy」や「elegant variation」が少ないので、他の記事より読みやすいと思ったのは私だけだろうか。今日は、彼女の文章に魅せられたので、もう一つ過去の記事も読んだ。

この短編を読んで、何を感じたかと言えば、やっぱり次の作品だろう。

芥川賞受賞作なんで読んだ人は多いかもしれない。生き方に対する道徳観、価値観の違いを他人から辱められるけど、人にとやかく言われることではなく、コンビニで働き続け自分の存在を肯定するところが、この短編の中で、スーパーマーケットで働く「私」が最後に「trash」じゃないという締めくくりと似ている。しかし、「コンビニ人間」では、最後にコンビニ人間として1人で生きて行くことを決意した彼女の将来に、深い闇を感じたけど、この短編の中の彼女には、結婚して彼がいる。同じような主題なのに、闇がないところで読後感はかなり違って、爽やかに感じた。

コンビニ人間を読んだ人は、この短編を読んでみるといいだろう。彼女の他の作品も読みたくなった。


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