TikTok騒動から見る米国資金の流れ
TikTokを中心とした、中国企業傘下のアプリなどの騒動が、国際関係にも影響を与えている、という件は下記投稿でお話しましたが、その続編と今後の米国投資家の資金の流れについて、書いてみようと思います。
前回投稿から、ここ数日でもTikTokに纏わる進展がありました。
具体的には、こんな感じですかね
①TikTokを運営するByteDance社が以前目論んでいた、米国のIPO上場を諦め、上海・香港での上場を目指す
②トランプ大統領がTikTokを米国内での使用禁止、若しくはTikTok事業の売却を命令する、という話。
③日本も自民党が似たような規制の必要性を議論している、と言われている。
④米国VCファンド以外にも、マイクロソフトも買収に興味を示しているものの、トランプ大統領は米企業にはあまり買収してもらいたくない?一旦はマイクロソフトへの売却決定とかありましたが、マイクロソフト側が保留?。
TikTokの例は、今後の中国企業発のサービス・アプリの国際展開なり、逆に中国以外で開発されたアプリの提供範囲、などが国別で決まっていくのかな、という、アプリがよりローカルマーケット寄りになるような傾向とも見受けられます。今後もこの流れの話を追っていこうと思います。
話変わって、別の投稿でもご紹介させて頂いた、アリババグループ傘下のアントフィナンシャルの上海・香港上場ですが、所謂Pre-IPOと言われる上場前の段階で多くの米国年金投資家やSWF(ソブリンウェルスファンド)などが投資しており、彼らの成長を支えたのでは、と言われています。
Silver Lake、Warburg Pincus、およびCarlyle Groupは、2018年に行われたアントファイナンシャル社のPre IPOラウンドで大量の資金を投資しており、同社にそれぞれ少なくとも5億ドルを投資したという。アントファイナンシャル社は2018年に他にもシンガポールのGIC、Khazanah Nasional Berhad、Canada Pension Plan Investment Board、Temasek Holdingsなどからも調達しており、2018年通して合計約140億ドルを調達した。
アントファイナンシャル社の価値は現在約2100億ドルと推定されており、もしその評価額でIPOで売却した場合、ファンドは40%のリターンを得ることになる。
問題はアントフィナンシャルのみならず、様々な米国PEファンドは高い成長や投資リターン期待も含めて、多くの中国企業に投資してきており、実際に投資家(そして年金基金であれば、その後ろの年金受給者)も結果として恩恵を受けている点である。
今後は中国企業製品(ハードやソフト両面)が米国や友好国(もしくは中国と協力したがらない国)にて禁止や販売制限が受ける可能性があるとともに、お金の流れも最終的に中国企業に投資しているかどうか、しないようにできるのか、という明確化がより求められそうです。これによってPEファンドに対しても、汎アジアファンドとかグローバルファンドではなく、中国案件入り・外しといった要件が米国の投資家から追加で求められそうな気もします。