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統計の不正について

昨今毎年一つぐらいは出てくる、官庁の統計不正に関して、今年は国土交通省の建設工事受注動態統計に関することでした。こちらで報告書も見れます。

報告書によると国交省は2000年から都道府県に過去分のデータを合算して処理する書き換えを指示した。13年に推計方法を変更した後は二重計上も生じていたと認定した。

一方で下記記事の表題のように、官僚が統計を不正した、という簡単な問題でもなさそう。期ずれや推定計算・二重カウントの両方があったことは指摘に値する一方で、計算方法自体は一定程度の妥当性もある模様

公表データを基に、朝日新聞が複数の専門家の助言を受けて試算した。この統計の開始当時に標本の抽出方法の設計に携わった横浜市立大の土屋隆裕教授(統計調査)は、この試算について「誤差は生じるだろうが、考え方は妥当」と評価。総務省統計委員会委員長で統計数理研究所長の椿広計氏は「試算の仮定は合理的で、概数は把握できよう。統計委としても国交省に対し数値の是正を要請している」とした。

また統計学をあまり知らないものとしては、どれだけ裏方で皆様ががんばっているか、また統計不正は防止可能である、という点が異なる視点で興味深かったです。

第一に、統計不正により統計担当者の「いい加減な仕事ぶり」が問題視されているが、それは統計知識が不十分もしくは職業倫理観の低い限られた職員の問題にすぎないという点だ。筆者の知る限り、統計担当者の大多数は、むしろ全く逆のタイプという印象が強い。…第二に、今後の最大の焦点は、公的統計の信頼を回復するための厳格な再発防止策となるが、その導入は、長期的にみると、統計担当者にとって悪い面より良い面の方が大きいと考えている。短期的には、再発防止策への対応で業務負担が増えることも想定されるが、統計担当者の大多数は、そうした業務も着々とこなしていくタイプであり、あまり問題とならないだろう。他方、再発防止策の効果で一部の職員による統計不正がなくなれば、それは統計担当者の汚名返上につながる。その意味で、厳格な再発防止策は、統計不正を排除し、統計担当者への批判を防ぐ「守護神」となる。

やはり下記の本を、社会的に個人的にも、出版後約10年後でも必要性を感じてしまうのは、何とも心苦しいような気もする。



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