コングロマリットからの脱却?

下記投稿にも以前書いたように、ソフトバンクグループでも企業価値がディスカウントされている、と孫正義CEOは今まで発言されてきました。

ここで良く言われるのは複合事業体による企業価値のディスカウント『コングロマリット・ディスカウント』です。一方でGEや東芝など各国を代表する(していた)企業が分社化の意向を発表しました。

複合企業で低収益に陥っている事例は少なくない。経済産業省の資料によると、東証1部上場企業を規模別、多角化度別にグループ分けしたところ、大規模化と多角化が進むほど利益率が下がる傾向にある。…株式市場では、複合企業は多岐にわたる事業に経営者の目が行き届かず、各事業で最適な経営判断を下せていないのではないかと懸念されている。狙ったはずのシナジー効果が引き出せず、むしろマイナスに働いているのではとの疑問だ。複合企業は一つの事業を手がける専業企業に比べて株式市場から低く評価される傾向があり、米国では平均1~2割、日本では1割程度、ディスカウントされているとの指摘もある。…一つは企業を取り巻く経営環境が激変していることだ。新型コロナウイルス禍や脱炭素、急速なデジタル化などに直面し、複合企業は経営判断が遅れたり資源配分が非効率になったりする恐れがある。もう一つは、業績低迷企業に対する株式市場の風圧が一段と強まっていることだ。緩和マネーが膨らみ、企業に経営の見直しを要求するアクティビストの勢いが増している。

そこで分社化したら本当に市場価値が上昇となるのだろうか。何とも言えない、というのが簡単な結論だろう。

コングロマリットと同様、会社分割にも「良い」「悪い」があるといわれる。少なくとも良い面は、業界再編を進めやすくする点だろう。…コングロマリットの弊害は社会のニーズにこたえられない低収益の伝統事業に引っ張られて株価が低迷、全体として成長投資が抑え込まれてしまうことだった。分割して独立企業にすれば、それぞれの時間軸と価値で投資が増やせ、イノベーションも生まれやすくなる。先行事例は米化学大手のダウ・デュポンだろう。株主の要請で2019年に会社を3分割したが、低成長の「特殊産業材」を除き、「農業」「素材」の2つの新会社は時価総額をそれぞれ42%、13%高めた。こうした手法は世界の潮流になるかもしれない。

まず株主の意向を伺わないと進まないが、既にGEや東芝以外の企業も分社化の意向を示し始めている。さて複合企業が多い日本企業への示唆は何だろうか。



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