ワクチン外交への思惑
抗コロナウイルスワクチンが欧米や中国ロシアなどで開発され、今やセールス段階に入っていますが、なんとなく想像はついていたものの、やはり外交の一つの手段として、活用されているのでは、より分断を生んでいるのでは、という論調がちょっとずつ見えてきました。
世界保健機関(WHO)は富裕国の資金でワクチンを共同購入し途上国にも公平に配る「COVAX(コバックス)ファシリティー」を立ち上げている。約190カ国が参加するが、当初の米中の不参加も響き資金が十分集まっていない。主要国はまず、この枠組みをきちんと機能させるべきだ。コバックスへの疑念は、多くの国をワクチン保有国や製薬会社との個別交渉に向かわせた。これがワクチンの政治利用の温床になっている。ワクチン争奪へ高値を提示する国もあり、テドロスWHO事務局長は世界が「道義の崩壊の瀬戸際にある」と批判した。南アフリカのラマポーザ大統領はワクチンをため込む富裕国に「過剰分を放出せよ」と求めた。こうした自国優先の「ワクチンナショナリズム」は感染の収束を遅らせかねない。グローバル化が進んだいま、途上国でウイルスの封じ込めに失敗すれば感染は再び世界に広がる危険がある。
全体的な論調は上記が記しているようなものであるが、コロナ以外にもワクチン接種が進んでない貧困国へ、この度はどのようにコロナワクチン配布と接種を広めるか、という課題は永遠に続く課題だろう。
中国はミャンマーなど経済力の弱い国には無償で、ほかの国にも低価格で提供しているとみられる。冷凍保存が必要なファイザー製やモデルナ製と違い冷蔵で十分な点も冷凍施設などのインフラが整っていない途上国にとって魅力的に映る。ロシア製の「スプートニクV」も認可を受けたのは10カ国を超えた。国内でも18日のワクチンの大規模接種の開始前後から新規感染者数の減少傾向が強まっている。外交では孤立脱却に、国内ではプーチン政権への支持つなぎとめにワクチンを利用する
COVAXが唯一ソリューションとなるのでは、と考えられていたがそうでない、という現状を考えると、今までちゃんと、貧困国のワクチン接種へ平等な機会提供に関して真剣に取り組んでこなかった、国際社会へのしっぺ返しが来たのでは、と考える。
そして先進国であれ、やはり自国内のワクチン接種事情を改善させることは喫緊の課題であることに変りもない。早くワクチン接種記録のわかる、若しくはPCR検査結果履歴がわかるパスポートが欲しいとは思う。