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今更、GameStop株騒動を振り返る

先週末(1月末)のニューヨーク株式市場は、ダウ平均が3万ドルを一時下回る、など下落方向となった。背景として言われているのが、Redditという個人投資家間でのSNSを主導とする、Robinhoodなどモバイルアプリを活用して資産運用をしている個人投資家と、空売りも厭わず、高いリターン創出を生業とし、毎日市場と向き合っている株式ヘッジファンドによる『対立』があった。

空売りファンドは…時に略奪者のように中傷されるが、…個人投資家たちの怒りの的になっている。個人投資家はレディットなどのSNS(交流サイト)上で空売りファンドのことを、いかさまで個人投資家から搾取するエリート層の一員として描き出している。そうしたファンドの1つが1月29日に降参した。20年間空売りを手がけてきた米シトロン・リサーチが、売り銘柄を特定するリポートの公表をやめ、今後は買いの機会を探ることに集中すると発表した。シトロンは米メルビン・キャピタルと並び、経営不振のゲーム専門店ゲームストップ株などを狙った個人投資家の猛烈な買いによって窮地に追い込まれたヘッジファンドの一つだ。個人が大量に株を買い、株価が急騰するなかで、これらのヘッジファンドは株価下落を予想した空売りの手じまいに追い込まれ、多額の損失を被った。

ターゲットとなった株は、GameStopというテレビゲームを販売している小売店の株式価格は上記チャートのように大きく上下した。

更なるストーリーはここからで、ヘッジファンドなど機関投資家は市場が守られるべき、と金融当局や個人投資家が使用する証券会社による、個人投資家への売買規制を求め、一時は似たような規制などが入ったものの、ヘッジファンドへの介入はなく、個人投資家への介入をするのか、という異論が勃発し結果的に、個人投資家への規制を再度緩和したところ、また株価の上下幅が大きくなった、とのこと。

要するに、この対立はGameStop株という公共の市場を通じた、エスタブリッシュメントと言われる元々の富裕層が、更なる富を得る為に投資されるヘッジファンドに対する、コロナ禍で苦しんでいる庶民も含まれる個人投資家という『貧富の差』に注目された、代理戦争みたいなものである。富裕層への怒りや『不公平感』への是正には追い風が吹かせられるような風潮は、個人的にはちょっときな臭い感じもするが。

日本はどうだろう。Yahoo!Financeやみんかぶのようにチャットシステムで罵詈雑言も含めた会話がなされているが、まだ米国のような、個別株の空売りオプションが多くは導入されていない(それだけの流動性がない、というだけだろうが)からか、まだ富裕層への怒りをこのように示していない、だけかもしれない。日本のヘッジファンドも『Get Ready』なのかも。

ところでソフトバンクグループは昨年GAFA関連株のオプションを大量に購入し、かなり株価が急騰したが、その後調整が入り、株価が下落した際にかなりの損失を被った、なんて話もあった。

個人的に怖いのは、リアルな『Money Speaks』に近い状態になりつつあることだろう。お金で力を示しあう戦いは分かりやすいが、結局はゼロサムゲームみたいなもんだろう。

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