規制の理由は様々ですね

昨年上場延期となったアリババ傘下のアントフィナンシャルですが、同社CEOが辞任をした、という記事が下記にありました。それを見ると、中国の規制当局による、理由付けが興味深いな、と感じました。(過去の関連投稿は下記をご確認ください。)

アントの胡暁明・最高経営責任者(CEO)が辞任を表明。…辞任の背景には、当局が企業統治の改善を求めて圧力を増したことがある。習近平(シー・ジンピン)指導部は20年11月にアントの上場を直前で差し止め、12月には2度目の聴取に踏み切った。事情を知る関係者によると「外部株主がいるグループ会社に対する役員、幹部の兼務が多い」との指摘があったという。

またソフトバンクグループと中国配車サービス最大手、滴滴出行(ディディ)のグループ会社が、中国当局により50万元(840万円相当)ずつ罰金が命じられた、とのこと。

折半出資する日本でのタクシー配車サービス「DiDiモビリティジャパン」の設立に際し、事前に当局に届けなかったためとしている。国家市場監督管理総局が発表した。…同局は、昨年11月にインターネット企業の独占を規制する方針を表明。同12月には中国電子商取引最大手アリババグループと、IT大手の騰訊控股(テンセント)のそれぞれの傘下企業に対し、今回と同じ理由で50万元の罰金処分を発表した。

過去の事例に遡及、理由付けをし(また当時は問題でなかったことであっても)、そこから罰金を徴収するというシステムは中国当局ならではのやり方、だなと感じました。

加えてビットコインなど仮想通貨を通じて、日本でも有名になったマイニングですが、石炭が主要の発電エネルギー源である電気の消費を抑制するために、中国・内モンゴル自治区におけるマイニングを禁止、とした模様。

中国の内モンゴル自治区政府の発展改革委員会は2月25日、同自治区内での仮想通貨のマイニング事業をすべて2021年4月末までに終了させ、新規のプロジェクトも禁止すると発表。…製鉄や石炭火力発電などの従来型産業に加えて、電力を大量に消費する仮想通貨のマイニングにも焦点が当てられた格好だ。…ビットコインのマイニングを行う計算能力は2020年4月時点で全世界の60%が中国に集中し…さらに中国国内の計算能力を地方別に見ると、36%が新疆ウイグル自治区、10%が四川省、7%が内モンゴル自治区、5%が雲南省に分布している…水力発電が盛んな四川省と雲南省では余剰電力を利用したマイニングが活発だ。しかし冬場の乾期にはダムの水量が減って電力コストが上がるため、石炭資源が豊富な新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区のほうが有利になる。

上記の数字にそれなりの妥当性があるのであれば、内モンゴル自治区だけでなく、ウイグル自治区でのマイニングももっと制限されるはずですが。そうでないのであれば、こちらの規制理由も興味深いな、と感じました。


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