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無形資産、どう図る?

コロナショックを通じたSell in Marchという大幅な下げ相場を経験したことで、Sell in Mayと言われる市場のアノマリーは今年見られなかったわけだが、ここ最近はかなり戻ってきて。また直近2-3日では、米国でのコロナウイルス拡大懸念(中国も北京で数人みつかったとか)から上昇基調だった株式市場も一旦休止、といった具合か。

日経平均18000円あたり(?)が所謂東証一部企業の簿価といわれ、それを割れると日本市場(もしくは少なくとも上場企業)の簿価割れ状態といわれていた。日銀の必至なETF買いも通じてやっとこさ守っているPBR1倍程度の水準(2019年夏や2020年3月に切り込んだラインであるが)であるということは、所謂PBR1倍割れの企業が多いのも日本市場と特徴といえ、PBR1倍割れの企業株価が上昇すると、バリュー株選好とか良い言い方になり、また割安というバリュエーションに展開されると、日本株は良い投資先、なんて書かれるが。

また視点を変えれば、GAFA+Mのように、このコロナショック後でも株価が上昇し続けているものもあり、過剰流動性という中央銀行の資金供給による側面もあるが、同時に彼らのプラットフォームや新商品、人材への投資、が評価され、収益以上に株価に反映されている、ともいえる

対照的に日本企業の有形資産への偏重(土地、建物、資材など財務諸表に載る資産)が、帳簿に掲載される無形資産(ソフトウェア、ブランド価値、M&Aのれん等)や公開情報では見えない人材資産、自社プラットフォームの価値を重視する株式市場の目線とずれが拡大している、とも捉えられる。下記レポートに詳細が書かれていますのでご確認ください。

日本企業のように有形資産が多いと、銀行など間接金融に頼っている市場は資金を借りやすいですが、そのような銀行から見ると無形資産の価値って正直見えにくく、減損となる要因でもあり、判断材料としてよろしくない。一方、直接金融が発達している米国などでは、例え会社が清算されても、有形資産の多くが同社の債務弁済にほとんど充てられ、株主への恩恵は殆どないとも捉えれば、無形資産の価値をどれだけ判断できるか、というのが米国市場での”バリュー投資”なのかもしれない。古くはコカ・コーラやディズニー、最近ではGAFAといった具合だろうか。

先ほどのレポートに書かれているように、日本における『無形資産投資に係る情報開示は、金融機関にとってのビジネスチャンスの拡大でもある』。定量的な情報開示や無形資産の流動化(証券化)などの取り組みができれば、ゲームチャンジャ―になりそうな気がする。

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