地銀再編続編と『お腹いっぱいです』

地銀再編のテーマですが、何回か過去も投稿してきました。(最近のは下記を参照)あまり大きな変化が見られていなかったセクターが少しずつ動いている気がするので、再度投稿してみます。

まず上記記事のように、金融庁長官が2020年7月20日付で交代となり、新たに氷見野新長官(以前は金融国際審議官)が就任された、とのこと。特に銀行再編について多くは書かれていなかったことから、ざっくりではあるが、地銀再編に関しては、遠藤前長官の姿勢を踏襲といった形だろうか。所謂『金融機関に対する「上から目線」の姿勢を見直し、本音を引き出そうと対話重視』という金融庁自身の態度変更、といったことだろう。

また地銀再編を推し進めている新たなトレンドはSBIグループによって進められている面もあるだろう。下記Note投稿にも書いているが、SBIグループによる地方創成ファンド(「地方創成パートナーズ」)の組成や、様々な地銀との提携、金融庁OBの雇用など着々とピースを埋めてきている。

その流れに加えて、であるが、2020年7月29日にSBIホールディングスは、更に中堅証券会社(ライブスター証券)を買収すると公表。またその後の決算発表(7月30日)では、北尾社長が、あと6-7行ほどの地銀との提携を来る9月ごろをめどに行いたい、というような趣旨のコメントされたようである。

そして地銀も自らの収支改善にも取り組んではいるようである。下記記事のように、銀行の収入改善のために、多様な事務手数料の徴収を始めたり、経費となる預金の金利は最低水準まで低下させ、という流れである。これらの実施策が必ずしも、お客様(銀行サービスを活用される方)にとってベストではないようではあるが。

新型コロナウイルス感染拡大後、個人や法人が防衛的に預金しておく動きが加速し、経営上の重荷だった預金が急増する懸念が浮上していた。。。
時間差はあっても各行の対応が横並びなのは、他行より高い金利を示したままでは少しでも有利な預け先を求める個人や企業のお金が流れ込んでくる事情もある。今年6月にマイナス金利が適用された地銀の預金額は前月の2倍強となる計5280億円。地銀の幹部は「(金利下げを)ためらえば大口の預金が入ってくる」という。
融資や有価証券の運用先が乏しいなかで行き場を失い、銀行に積み上がる預金の負担は重くなるばかりだ。

危機対応として、日銀などの中央銀行からの量的緩和は経済危機の底を浅くしたり、信用悪化の連鎖を回避などの役割はあったものの、その後の処理は銀行にしわ寄せが行き、今や融資先や投資先もなくなり、上記抜粋のように銀行にとっては「ほんとにお腹いっぱいです」状態。銀行はお腹いっぱいなのに、預金者自身はあまり、そのお金を自分の投資などには振り向けないのだから、何とも不都合な現実である。

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