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『知的戦闘力を高める独学の技法』|読書メモ

本を通じたアウトプット。誤読も含め、楽しんでいきたいです。

著者は独立研究家・著作家・パブリックスピーカーの山口周さん。本書を通じて、知的戦闘力を向上させるための「独学の技術」を読者に伝授したいとおっしゃっています。

マイ・サマリー

◆独学とは、「①戦略」「②インプット」「③抽象化・構造化」「④ストック」の4つのモジュールからなるシステム
◆システムを与件として考えることなく、自分が依拠しているシステムそのものを批判的に考察して、場合によってはシステムの改変やリプレースを提言する「知的な革命家」になる
◆知的戦闘力の向上を図るためには、むしろ「インプットされた内容の9割は短期間に忘却されること」を前提にする
◆一度インプットした情報を自分なりに抽象化・構造化した上で、外部のデジタル情報として整理しストックする
◆「何をインプットするか」よりも「何をインプットしないか」
◆独学の方針はジャンルではなく、自分が追求したい論点、テーマで決める
◆常に「問い」をもってインプットに臨む
◆独学によってインプットした知識を、仕事における成果につなげるためにやらなければならないことは「抽象化」と「構造化」

「独学の技術」が求められる時代

「独学の技術」が求められる時代になっている理由として著者は次の4点を挙げています。
①「知識の不良資産化」学校で学んだ知識は急速に時代遅れになる
②「産業蒸発の時代」イノベーションは今の仕組みを根底から覆す
③「人生三毛作」労働期間は長くなるのに企業の「旬の寿命」は短くなる
④「クロスオーバー人材」2つの領域を横断・結合する知識が必要となる

現在、社会の様々な領域において制度疲労が発生しています。そうした制度疲労を打破するためには、疲弊した現行のシステムを前提にした知識ではなく「現行システムを前提としない知性」が必要だと説きます。「知るということが時代遅れになりつつある時代」に我々はどのように戦うべきなのかを知ることができます。

「独学の戦略」を持つ

私が刺激を受けたのは「独学の戦略」として学びのテーマを設定するという考え方です。私が今まで考えていたのは、学びのテーマを考えるときに「どのジャンルを勉強するか」というものです。例えば、「経営を学ぶ」、「組織論を学ぶ」「リーダシップを学ぶ」といったものです。しかし山口さんはまず「テーマ」を決めるべきといいます。この「テーマ」とは自分が追求したい「論点」のことです。山口さんの場合は「イノベーションが起こる組織とはどのようなものか」「美意識はリーダーシップをどう向上させるのか」「共産主義はいまだ可能なのか」「キリスト教は悩めるビジネスパーソンを救えるのか」といったテーマを持って独学に挑んでいるそうです。

「ジャンル」に沿って勉強するということは、すでに誰かが体系化した知識の枠組みに沿って勉強することになるということです。「現行システムに依存しない知性」を獲得するためにはその枠組みから出る必要があります。まず自分が追求したい「テーマ」を決め、そのうえで様々な「ジャンル」を行き来する。そうすることで独自の示唆や洞察が生まれるといいます。

この「テーマ」をどう選ぶかが自分独自の知性につながることになります。そしてどのような「ジャンル」を自分で選んでいくのか。山口さんは別の書作で、仕事ができるということを「その人固有の価値があること」と言われていますが、まさにこの「テーマ」と「ジャンル」の掛け合わせによって「固有の価値」を創り、仕事ができるという状態になるのだと思います。

今まで意識ができていなかった「独学の戦略」。改めて自分が社会に対して何をもたらしたいのかという自問自答もしながら考えてみたいと思います。




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