スナフキンのサンダルを捧げる Ⅹ[エピローグ]
僕らは旅を終え、バンコクから成田空港に戻ってきた。入国審査官がズタボロのTシャツ姿の先輩を不審者と決めつけ、別室に連れて行こうとしたが、無事に川崎まで帰ってきた。
凍てつく寒さの中、真夏の格好をした2人は街で浮いた存在だったかもしれない。
この当時、ワイドショーでは、アメリカ軍の原子力潜水艦が愛媛県水産高校の練習船、えひめ丸に衝突し、沈没したニュースが頻繁に流れていた。
まだ、夜には少し早かったが、いつも行くバーのマスターを見つけ、店を開けてもらった。
旅のネタから、話の流れが西畑君にいった時、ふとマスターが、
「昨日、西畑君のお母さんから電話があって、実は彼、長崎の実家に帰ってたんだって。
でも、会社の人とは話したくないというから、会社から連絡があっても、ずっと隠してたって、、、
それでもう1か月も経ってしまって、どうしたらいい?」
と相談があったらしい。あのマジメで不器用な西畑君が失踪したと聞いたときは、ビックリした。
でも、実家にいると聞いて、なんだか安心した。
スナフキン先輩が持っていた、ビーチサンダルに
「マイペンライ」
とマジックで書いた。タイ語で大丈夫とか、何とかなるよという意味である。
そして当時、流行っていたチェキを使い、バーのマスターが僕ら2人の写真を撮った。
このスナフキンのサンダルと一緒に送るという。本当は西畑君と佐藤さんと3人で行くはずの旅はこんな形で終結した。
完
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