中2病症候群 ④ 〜 コピーバンド 〜
時代が昭和から平成になった頃、徳島県の田舎町にある中学校での、ありふれた日常を綴った物語である。
僕らが小学生の頃から、この地域では、ファミコンというTVゲームが流行り始めた。
しかし、自分の住んでいる周りでは、小学校を卒業し、中学生になっても、家でゲームばかりしている奴は「ゲーマー」と呼ばれ、カッコ悪い存在でしかなかった。
では、何がカッコイイ対象かというと、1番はスポーツ。部活動で活躍する事が、女の子にモテる唯一の方法だと、この地域の中学校では考えられていた。
野球とサッカーは、その中でも花形の部活であり、試合があれば、女子からの黄色い声援を浴びる唯一の存在であった。
しかし、その花形の選手の中にも序列があり、ごく一部の上級生だけが、その存在たることを許されていた。
全校生徒800人がつくる中学校のピラミッドのようなレースでは、そのレールから外れる者がほとんどである。
僕なんかは、その花形である人気の部活に入ることすらしなかった。マイナーな陸上部に入部した。
野球部とサッカー部の同級生は、1年の夏休みに強烈なシゴキというか、ふるいに掛けられ、その多くが反発して辞めていった。
従順でマジメな男しか残らないので、かつての強豪校が、僕らの時代は県大会の1回戦か2回戦で敗退していた。
部活の代わりに、バンドをはじめるヤツが現れはじめた。ブルーハーツが大好きで、ダビングしたカセットを貰い、毎日擦り切れるほど聞いた。
僕は楽器のセンスがなかったので、バンドメンバーになれなかったけど、仲間のライブはよく見に行った。その時からよく聴いていた歌は今でも心の中に刻まれている。
「誰かのルールはいらない
誰かのモラルはいらない
学校も塾もいらない
真実を握りしめたい」
「くだらない世の中だ
ションベンかけてやろう
打ちのめされる前に
僕ら打ちのめしてやろう」
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