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部下のモチベーションをどう上げるか?-「新版 はじめての課長の教科書」に学ぶ(3)

現場に近い管理職の一番大切な仕事は何かと聞かれたら、部下のやる気を最大限に引き出すことだと言えるでしょう。成果を上げることも成長させることも部下の当事者意識が鍵になるため、やる気を引き出せないことには話になりません。一部の自燃層(やる気の火を常に自分で付けられる人:雑に約20%)は除き、他燃層(自分では難しいが人から刺激をもらえれば火が付く人:約60%)と不燃層(なかなか火が付かない人:訳20%)にどう着火するかが勝負です。

モチベーション管理の重要なターゲットは約60%いる他燃層です。全体の過半数が火が付いたら組織として大抵着火しますので、20%自燃層をのぞくと残り30%です。つまり自分の感覚的には60%の他燃層の約半分に火をつけられるかどうかが組織を盛り上げられるかの試金石だと思っています。

やる気を引き出すアプロ―チとしては、外発的動機づけ(報酬やノルマ)と内発的動機づけ(やりがいや肯定感)がありますが、内発的動機づけこそが大切というのも今やビジネスの世界では常識と言えるでしょう。

一方、マーケティングの世界で「N1理論(N=1つまり母集団一人のリサーチから始めようという意味」が注目を集めています。これは、たった一人のロイヤルカスタマーの声に耳を傾け、新しいアイデアを生み出していくという手法です。以下の本に詳しい解説があります。顧客視点でのモノの見る考え方は全てのビジネスパーソンに参考になると思いますので広くおすすめです。

部下のモチベーションを高めるアプローチは、実はこの「N1理論」にヒントがあります。一人一人のキャリアニーズや価値観が多様化した中で、マクロなモチベーション喚起施策は限界に来ました。特に他燃層と思しきメンバーの声を一人一人聞き、彼らのやる気の種となっている事実やいまいち着火しきれない原因を見極め改善策を打ち出しましょう。

あとこれも多くの場所で語られていますが、人は皆自分がいかに会社や上司から大切に扱われているかを気にしています。形式的な声がけやルーチン業務化した1on1の無機質な遂行を超えて、どこまで部下のことを愛情と想像力を持って考えてあげらえるかが勝負の分かれ目です。

ただ管理職として何より大切だと思うのは、モチベーションは自分で上げるものだという誤解からの脱却でしょう。自分が自燃型だからと言って全員がそうだと思うのは大きなミスを生みかねません。また人は社会性の生き物なので、組織や上司によってこの自燃度合いはすぐに変わってしまいます。
部下のやる気を活かすも殺すも自分次第ということを自覚することが、管理職の第一歩です。

参考:新版 はじめての課長の教科書/ディスカヴァー・トゥエンティワン
酒井穣 (著)
第1章 課長とは何か?/4 モチベーション管理が一番大切な仕事

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