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プロジェクトマネジメントよもやま話

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特にシステム開発系のプロジェクトマネジメントについて書いた記事をまとめたマガジンです。
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記事一覧

顧客にこそ悩みは話したほうが良い

プロジェクトにおけるステークホルダー対応は、重要な管理要素の一つだ。特にクライアントワークにおいては、成功の可否を決める要素にもなる。実際PMBOKでもステークホルダーマネジメントとして知識エリアの1つに取り上げられているぐらいである。ただPMの中にはこの対応は正直ちょっと気が重いという人も多いはずだ。 顧客社内における情報シス部門やユーザー部門各々の関係は会社によって大きく違う。時に社内の政治的力関係にも巻き込まれることもあり、一筋縄ではいかない。他人様の会社の中のことな

なぜプロジェクトマネジメントをメンバー全員が学ぶべきなのか?

昨日、Backlog World 2020 運営キックオフという会議に参加してきました。 公募という形で運営に立候補させていただいたのですが、動機というか期待としては: ・今社内でプロジェクト品質向上に取り組んでおり、より実践的な知識を吸収しておきたかった ・Backlogは普段からよく使っていて馴染みがあった ・コミュニティ運営のノウハウを学んでみたかった といった理由がありました。 ということでキックオフに出て来たのですが、正直ちょっと感慨深いものがありました。 と

プロジェクトマネジメントで大切なことは宴会の幹事で学んだ

突然だが、何を隠そう自分は新卒時代に会社全体の宴会部長を買って出て、幾多のイベントを企画運営していた根っからの宴会幹事好きである。下手の横好きに加え面倒くさがりな本性も相まって残念な宴会になってしまったこともあったが、色々と幹事をやってきた。それから幾年月。今では自分なりの幹事としての手順とその在り方を確立できたと自負している。 一方で今世はコロナ禍における未曾有の宴会自粛期である。私には一つ懸念があった。この時期の新社会人各位は、貴重な経験を積める機会を失ってはいないか?

全社PMOの取り組みについて話をして来た

先日JBUGというBacklogのユーザー会にて、昨年から自社で取り組んできた全社PMOの取り組みについてお話をさせてもらった。 発表内容に対しては正直聴く人を選ぶ内容になったかなとは思うが、ツイッターなどのコメントを拝見すると、多少なり何か伝えることはできたのではないかと思う。 世の中でも”LT駆動型アウトプット”などと言われることもあるが、決まった開催日にお尻を叩いてもらいながら準備を進めた。こうした機会をもらえたことで、自分の中でも色々整理できたし、機会をもらえて大

プロジェクトの心理的安全性を高める変更管理の話

先日Twitterを見ていたらこんなつぶやきを見つけた。 最近ジムに行っていない自分には耳が痛いが、今回はクライアントワークにおいて極めてその重要性が高く、継続こそが肝である変更管理について書きたい。 *なおこのコンテンツはBacklog Advent Calendar 2019の 12/18分としてお送りします。 ■変更管理とは何か?変更管理とはその名の如く「変更を管理する仕組み」のことだ。PMBOKにおいても、統合マネジメント知識エリアの中の統合変更管理として定義

#JBUG 東京 #15 オンライン「#BacklogWorld re:Union LT おかわり」で話したかったことを補いたい

こちらでお話する機会を頂いた。資料はこちらで公開しているのでよろしければご覧いただきたい。 なお動画はこちら。(自分の発表は25:00ぐらいから) 10分間のLTにしては重ためなタイトルにしてしまい、言いたいことが伝わりにくくなってしまったかもしれないが、以下少し行間や文脈を補いたい。 「プロジェクト」と「経営」をどう繋ぐべきか?まず弊社のようにクライアントワークを中心とした会社におけるプロジェクトと経営の関係について整理しておきたい。 もともとプロジェクトの特徴は有

プロジェクトリカバリで気をつけたい5つのこと

システム開発などプロジェクトにトラブルが発生してリカバリが必要になることがあります。 特にリカバリの陣頭指揮を取る立場となる場合に、過去の自らの教訓踏まえて、気をつけたいことをまとめました。 1.「そもそも」は目の前の火を消してから 一般的にトラブル状態のプロジェクトは、対応すべき問題が複数重なり、その本質が見えにくくなっている事が多い。最初から無理に本質をつこうとせず、解決すべき問題の数を一旦絞り、絡んだ糸を解くように1つづつ解決していくことを心がける。 2.プ

なぜ進捗は日付で聞くべきなのか?

フォーマットなど何も前提がない状態で、もし自身の作業の進捗を聞かれたとしよう。あなたはどう答えるだろう? 出来高や達成度で答える人(「15本終わりました」「8割終わってます」)と日付ベースで答える人(「1日遅れる見込みです」)。もちろん両方という人もいるかもしれない。 立場上様々な仕事でメンバーの進捗を確認することは多いが、納期意識の高い人は大抵日付ベースで答えてくれる。(オンスケですとか、何日前倒しですという感じ) 日付で返してくれない人は「ではオンスケということでいいで

スコープは期待をすり合わせてなんぼ

プロマネが扱うべきスコープには、プロダクトスコープとプロジェクトスコープの2つがある。 プロダクトスコープは「何をつくるか?」であり、プロダクトを特徴づける特性や機能のことだ。一方プロジェクトスコープは「何をするか?」で、プロダクトスコープを実現するために実施する作業を指す。 例えば、夫婦でゲストを招き料理を振る舞うというプロジェクトがあったとすると、どんな料理を作るかが「プロダクトスコープ」、その料理を出すための作業が「プロジェクトスコープ」という感じである。 このス

品質コストの最適バランス

システム開発において「品質」にはコストがつきものだ。ただコストの掛け方(掛かり方)にはいくつか分類がある。PMBOK(最新第6版)での定義を参考にすると以下のようになる。(PMBOK第6版 8.1.2.3より引用) 当然組織的には不適合コストを適合コストに、適合コストも評価コストからより予防コストに配分を高められるようにしていくべきである。ただ実際のPJの運用では、予防側に優先投下出来ないことが多い。これは組織としてどう対応していくべきなのか非常に悩ましい。 まず問題は、