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ソングライティング・ワークブック 第145週:Violeta Parra (6)

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Volver a los diecisiete(17歳に還る)

リズムは民謡、歌詞は詩(文学)

Volver a los diecisiete
Después de vivir un siglo
Es como descifrar signos
Sin ser sabio competente
Volver a ser de repente
Tan frágil como un segundo
Volver a sentir profundo
Como un niño frente a Dios
Eso es lo que siento yo
En este instante fecundo
Se va entredando, entredando
Como en el muro la hiedra
Y va brotando, brotando
Como el musquito en la piedra
Como el musquito en la piedra, ay, si, si, si

1世紀生きたのち
17歳の時に還っている
賢くなれなかったまま
何かの印を読むみたい
突然やって来た
1秒のように壊れやすい時
神の前の子供のように
深く感じる時が再び
この実りの瞬間
私はそう感じている
壁の蔦のように
絡まって、絡まって
岩の苔のように
芽吹いて、芽吹いて
そう、岩の苔のように、芽吹いて

Violeta Parra, "Volver a los diecisiete"(拙訳付き)

『Volver a los diecisiete』もいろいろな人によく歌われている。Mercedes Sosaのヴァージョンが有名なのだけれど、WikipediaによるとMilton NascimentoやCaetano Velosoといった有名な人々を含むブラジルのミュージシャンたちの多くがカバーしているようだ。Sosaとブラジルのミュージシャンが共演しているものがYouTubeにあがっている。

上に引用したのはその最初のヴァースとコーラス(あるいはリフレイン、Se va entredandoから)の歌詞。自分で訳してみたけれど、もっとうまい訳があるだろう。

曲はチリの古いダンス音楽から発想されているという。でも、歌詞を読めばダンスとか民謡という感じはない。ひとつには話者が「私」であること。個人である「私」の内面に起こっていることについて歌うということ。それから、メタファーを駆使しているということ。

ここまで、何か大事なことが話者に起こっているということはわかるけれど、具体的なことはわからない。2つ目のヴァースへ行ってみよう。

Me paso retrocedido
Cuando el de ustedes avanza
El arco de las alianzas
Ha penetrado en mi nido
Con todo su colorido
Se ha paseado por mis venas
Y hasta las duras cadenas
Con que nos ata el destino
Es como un diamante fino
Que alumbra mi alma serena

私は後ずさりして
あなたのものたちが前に進む
契約の箱
私の巣に入ってくる
その全ての色で
私の血管を染めて歩む
私たちの運命を結ぶ
硬い鎖は
ダイヤモンドのように
私の魂を照らす

ああ、愛の歌なんだな、と、ここでわかる。エロティックなイメージだ。

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