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詩日記 29

 弐○廿弐年 V月 廿陸日

 計り知れないほどの

 時と経験の中を旅してきた

 大賢者が今まさに 我々に微笑みかけ

 智慧を授けようとしてくれている


 彼 もしくは彼女は 以下のように

 ぼくに 語りかける


 大人とはなんですか

 知性とはなんですか

 勝利とはなんですか


 この質問に 正解はありませんが

 今の… 飽くまでも今のですが

 問題は

 あなたがそれをどう定義するかなのです


 大人とはなんですか

 お金を稼いでいるひとのことですか?


 知性とはなんですか

 受け売りを話すことですか?


 勝利とはなんですか

 敗者の悲しみを生み出すことですか?


 あなたは それに疑問を抱いてきた

 ならば 再定義しなおせばよいのですよ


 再定義しなおした 答え

 あなたは いずれ

 それになるのでしょう

 その 答え そのものに


 あなたは どのような大人になるのですか

 あなたは どのような知性を持つのですか

 あなたは 何を勝利と呼ぶのですか


 賢者の微笑みは どこまでも深く

 どこまでも 鋭い


 自らに問いなさい

 私はどう 生きてきたのか と

 そして これから どう生きたいのか と


 答えに詰まったぼくに

 賢者は優しい眼差しだけを そそぐ

 急かさず 叱らず 待っていてくれる


 ぼくは 口の中で つぶやく

 祝詞のように あの質問を


 大人とはなんですか

 知性とはなんですか

 勝利とはなんですか

 あなたは 何者ですか


 あなたは どう生きますか


 ぼくは

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