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人の演奏はとっても勉強になる、という話

昨日までの3連休、みなさんいかがお過ごしでしたでしょうか?

私はというと、ピアニストであり、ピアノ講師でもある高校の先輩と大学生ヴァイオリニストの方が開催された演奏会に行ってきました。
noteでは初の音楽の話!

先輩と私は、同じ高校の音楽科ピアノ専攻出身というだけではなく、一緒に飲み歩く飲み友達のような存在でもあり、私のピアノの先生でもあるという、関係性。
高校の頃から一緒に弾き合いをしたり、それはそれはとーってもお世話になっていて、8月の発表会では一緒に連弾させていただきましたが、とにかくピアノが上手くて、頭が良くて努力家で、強くてしたたかで、それでいて美人という…なんとも無敵の存在。
天は何物を彼女に与えたのだろうか。

そんな先輩の演奏を観客として聴くのは数年ぶり。
プログラムはこちら。

クライスラー
・プニャーニ様式による前奏曲とアレグロ
・中国の太鼓 Op.3
シューマン
・3つのロマンス 第2番
イザイ
・無伴奏ヴァイオリンソナタ 第4番 e-moll
モーツァルト
・ピアノとヴァイオリンのためのソナタ e-moll K.304
バッハ=ブゾーニ
・シャコンヌ d-moll

わずか1時間半くらいの短い演奏会。高校の頃にオーケストラでヴァイオリンをかじった程度の私でも分かる、難易度の高い曲がずらり。
知っている人の演奏会は、いつもなぜか聴いている私まで緊張してしまいます。

小さい会場でいちばん後ろでもわりと演奏者に近い状態こともあって、2人のピアノとヴァイオリンの深くて美しい音色に、会場はすぐに2人の世界観に染まっていました。
私もよだれ垂らしそうになりながら聴いてました。

ピアノソロはまさかのシャコンヌ

トリを飾る先輩のピアノソロはシャコンヌ(バッハ=ブゾーニ)。
バッハ作曲の無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の最終楽章「シャコンヌ」をイタリアのピアニストであるブゾーニがピアノ用に編曲した作品。
ブゾーニは、世界的ピアニストのルービンシュタインが「悪魔的なテクニック」と評して、理想と崇めたほど凄腕のピアニストであっただけではなく、作曲家としても活躍した巨匠。

変奏曲(繰り返し同じ主題が数パターンに変化して成り立っている曲のこと)ですが、技術的にも表現的にも、かなり難易度が高い曲として知られています。
シャコンヌそのものは、これ以上の作品は作られないのではないかと言われるほどの傑作で、たくさんの作曲家が編曲しています。
ヴァイオリニストもピアニストもこぞって演奏する、いわゆる「人気曲」。
曲の深い精神性と充実した内容から、まるで人生のようだと言われている名曲中の名曲。

私も大好きで、弾いてみたい曲のひとつです。
5月にライブをした際には、共演者のヴァイオリニストさんにお願いしてオープニングで弾いていただいたので、プログラムを見た時は、まさかこの半年の間にヴァイオリンとピアノの両方のシャコンヌを生で聴けるとは、なんて贅沢なんだと胸が躍りました。

無駄のないフォームと深い音色

先輩の演奏はその華奢で可愛らしい見た目とは裏腹に、ガッツリと力強くて深くも、繊細さと柔らかさも持ち合わせているのが特徴。(だと私は勝手に思っていますw)
そんじょそこらの男性ピアニストには負けないのではないか、とすら思うほどピアノ全体を鳴らしてます!っていう音量を出します。
レッスンや一緒に連弾をした時は自分が弾くことに集中してるので、あまりしっかりと見れていなかったのが、今回改めて客席から見て分かったこと。

強い音を出す時は、ピアノに食ってかかるくらい背中を通して、肩から腕全体の重さを指先まで伝わるように。
速くて細かいパッセージのところでは、指が鍵盤に吸い付いているように無駄なアタックや動きがなくて、手首はしなやか。

これはお作法として当たり前に分かっていることで、基礎中の基礎。
それが手の大きさ的にちょっと無理があるような箇所でも全くもって崩れないということは、それだけしっかりと身に染み付いているということ。
有名なピアニストさんのYouTubeなどを見ると分かりますが、みんな無駄な動きが一切ない。

そんな先輩から今回渡された曲はショパンのバラード2番。
約12年ぶりに弾きますが、その時に先輩に言われたことは

指を鍛え直すことも必要だけど、それは勝手にハノンでもやっておいて。
どちらかというと曲で鍛えた方が良いのは柔軟性
あとは無駄な動きをなくしていくことかな。

自分で練習していると見えない部分はたくさんありますが、実際に人が演奏している姿を見ると自分の足りていない部分がよく分かります。
ピアノをやっている方は、自分の演奏を横から上半身全体が映るように動画に撮って、同じ曲を弾いているピアニストさんのYoutubeを見ると、自分と上手な人の差が分かりやすいかも。

そして翌日の練習で早速変化が…

先輩の手のフォームをちょっと真似っこして、ショパンを練習してみたら、音が出る出る。
逆に腕の力で押し切っている部分はキンキンした音しか出ません。
Rolandのデジタルグランドでも分かるくらいの違いです。

速いパッセージもいつもより指が回りやすかったです。
逆にいつもの無駄な動きの癖が出てくると、途端に音を外します。
なるほど、今まではきっとここで手首をはねさせたり、肩が上がっていて跳躍音を弾いたりしていたのか、と理解できました。

人の振り見て我が振り直せ、は音楽にも通ずるものなんだなぁ〜としみじみ。
今回は良い意味での人の振り見て我が振りが直った瞬間でした。
これを継続していったら、技術も少しずつ戻ってくるかしら…

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