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「成田悠輔&池戸万作の激論」への感想

ネットで話題になっていたイェール大学の成田さんと、YouTuberの池戸さんの激論について、感想を述べたい。

ここで何が言われているかは是非動画を見てほしいが、ポイントは以下だ。

  • 池戸さんは、経済成長のために政府支出をすればいい!と主張。

  • 成田さんはそれに対して、そんな簡単な話ではない。経済成長のために、政府支出が効く可能性ももちろんあるが、それでインフレが起きたり、人々が働かなくなったりする可能性もある。単純な1つの政策で経済成長がうまくいくというのは、複雑な社会を見誤っている。

というようなもの。

私が見たところ、成田さんのほうが、より熟考された考えを出していると思うが、池戸さんの言い分も価値はあると思う。

(時間の制約もあっただろうが)池戸さんが答えていないのは、

  • 「インフレ」や「勤労意欲の低下」がなぜ起きないといえるか?バラマキ金額とその程度の調整はどうするか?

  • 先進国で政府支出が多かった国が経済成長しているが、それは他の原因でも説明できるかもしれないが、なぜ政府支出だけで説明できるのか?

たしかに、池戸さんがいうようにGDPの公式に「政府支出」が項目として入っているので、それを増やせば、GDPは増える。GDPが増えることが経済成長の定義なら、政府支出を増やせば経済成長できるというのはほぼ言い切れる。
「ほぼ」というのは、設備投資や個人消費など、他のところにどのような影響があるかわからないからだ。

ただ、おそらく、短期的な視点では、政府支出を増やせば経済成長できる。1年とか、短期の話。

しかし、池戸さんの主張の不足は、中長期の影響を説明していないことだ。

1年とか短期でみれば、一時的にGDPは増えるが、
その後、消費や設備投資などがうまく回っていくだろうか?ここの政府支出を継続的に行うと影響が出てくると考えられる。

GDPの最重要項目でもある「消費」は、人々がほしいと思うものが提供されており、実際に買う人がいて成立する。

もし、政府支出が増え、市場にラッキーマネーが増えると人々の売買に対する真面目さが緩んでくる。このラッキーマネーの考え方については以下に書いたことがある。

成田さんい限らず、多くの人が、金をばらまけば人々の勤労意欲が下がるかもしれないと指摘している。
それもそのとおりだ。その可能性はある。金額によってはそうならない可能性もある。

そして、もう一点大事なことは、ただ勤労意欲が下がるという点だけではなく、優秀な人材を一定数確保しないと持続的な経済成長はできない、ということ。

つまり、新しい産業を作るとか、今までにない商品やサービスを創造する優秀な人材がいれば、政府支出としてばらまかれたお金の消費対象になり、その産業が伸びていき、経済成長していく。

しかし、
そういった商品やサービスが生み出されずに、既存の商品が惰性で作られるだけ(この場合、勤労意欲は維持されている)であるなら、日本は、競争力を失い外貨を稼げなくなるだろう。

つまり、政府支出を増やしても短期的にGDPが増えるだけで、中長期的な発展のためには、勤労意欲を保つ人がいるだけではなく、新しい産業を作っていける人たちがいないと、ただただ甘やかされて競争力のない人材ばかりで経済成長はおわる。

ただ、経済成長するには、最初の起点として「政府支出」が必要というのは、間違いないと思う。

受け手に余裕がないと、新しいビジネスはスタートしづらい。

こういう場合に、一番問題なのは、複雑なカオスの経済を、どうすれば

個人的に期待するのは、
成田さんのような統計の専門家が、「政府支出」がもたらすメリデメや可能性を統計的に明らかにして、世にその是非を問うことだ。

政府支出に負の側面もあるのはわかるが、現状打破の1施策としては筋がいいほうだろう。
(成田さんの結論は、おそらく、政府支出をするのは確かに経済成長につながるだろうが、結局は、上述のような優秀な人材をつくることの難しさに行き着いてしまうから、そこがクリアにならないとだめだということだろう)

まずは、「政府支出」を増やすというのは、妥当な選択肢だと思う。
そういう意味で、あえて、細かいことを説明せず、わかりやすい主張だけをしていく池戸さんの「NHKをぶっこわす」的なアプローチも目的を遂行する上では大切かもしれない。




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