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"少なくともわが敵であれよ!”読書note96「読書は格闘技」瀧本哲史著

「読書は格闘技」という考え方に立つと、「良書」の定義も変わってくる。(中略)書いてあることに賛成できなくても、それが批判するに値するほど、一つの立場として主張、根拠が伴っていれば、それは「良書」と言える。

読書は格闘技とは、単にインプットに終わるのではなくアウトプットにつながる読書をせよ、という事か?

「フラット化する世界」「文明の衝突」 20世紀から21世紀へ橋渡しとして読まれた本か? フラットになり一つになると皆が希望していたが、現実は、、、衝突の方へ動いてしまった感がある。

1990年代半ばからこの20年間を冷静に振り返ってみると、世界の各地域で「文明の衝突」と見られる紛争が数多く起きており、(中略)9・11事件はもとより、最近の東アジアにおける中国と周辺諸国との緊張の高まりも「文明の衝突」と見えなくもない。

「ザ・ゴール」「もしドラ」 課題解決やマネジメントの日米ベストセラーの比較も面白い。

『ザ・ゴール』で提示されている会社の目標は、会社の生存であり、利益というシビアなものである。これに対して、「もしドラ」の目標はあまりに漠然としたものでしかない。やった活動と成果の関係は、『ザ・ゴール』では科学的であり、定量的であることが強調される。一方、『もしドラ』ではみんなが一つになって打ち込んだら結果が出たという精神論になっている。
両者の問題解決のアプローチを比較しても、思考様式の違いを痛感する。ジョナ教授は答えを教えたりしない。問いかけをするだけで、アレックスが自分で考えて自分で答えを発見することを支援するだけであり、自分で考えて自分で決める事が強調される。(中略)一方、『もしドラ」では答えは『マネジメント』に載っていて、それを読んで覚えて、応用段階で工夫しているという形式になっている。

「年収は住むところで決まる」「現代の二都物語」 都市と地方の格差について考えさせられる。

地方都市を見てみると、優秀層で地元に残る人は、公務員、インフラ産業、地方金融機関、医師、教師などになりがちだ。これは実は街にとって良くない。これらの仕事は街を支える脇役であって、街を発展させる主役ではない。(中略)主役がいないのに舞台の大道具や照明ばかりが立派になり、いわば興行収入が見込めないのに制作費ばかり高い映画会社になってしまう。

「キャズム」「ポジショニング戦略」 人を動かすマーケティングの二つの考え方である。

「キャズム理論」の面白いところ(中略)、殆どの新製品がつまずくポイントは、良きパトロンである「ビジョナリー」と慎重かつ現実的な「アーリー・マジョリティー」の間にある大きな溝(キャズム)にあるという。
「ポジショニング戦略」消費者の心を変えるのは非常に困難であることを強調する。(中略)消費者の持っているイメージを変えるのではなく、今すでに心の中にあるイメージと繋げる努力をする。一度、消費者の心の中で場所取りに成功したら、それをあまり動かさず、維持することにすべき。

導入時は、キャズム理論で、普及したらポジショニング戦略で、と考えたらよいのか?

「マキシミン理論」

ゲーム理論では、完全に状況が不確実なときにとるべき最も合理的な行動は、最悪のシナリオになったときでも自分の取り分がその中では最大になるという意思決定を行うべきだと教える。(中略)それは「最も恵まれていない人に最大限の恩恵が与えられる」というルールの採択に繋がるはずである。(中略)この理論の面白いところは、極めて利己的な集団が、利他的な結論に到達するということである。

アウトプットできるかどうかは未だわからないが、刺激を受ける本であった。

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