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”21世紀型ラーニング・コンパス”読書note103「OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来」白井俊著

OECD(経済協力開発機構)は、教育の未来の在り方について、ずっと検討を続けているらしい。その経緯と現状を紹介しているのがこの本である。OECDってそんな事もやっているのね?知らなかった。

硬派な取組をしているようであり、そのキーワードは「コンピテンシー」であり、取組の最後ではそのコンピテンシーという用語も定義上あいまいということで、包含されてしまっているが、要約すると「21世紀型学び」に必要なことはコンピテンシーであるという主張である。

検討当初に仮説された能力(優れた職員が持つ共通特徴)として、「異文化対応の対人関係感受性」「ほかの人たちに前向きの期待を抱く力」「政治的ネットワークをすばやく学ぶ力」を挙げている。これでも十分に思えるがここが出発点である。

コンピテンスとは、「知識や〔認知的、メタ認知的、社会・情動的、実用的な〕スキル、態度及び価値観を結集することを通じて、特定の文脈における複雑な要求に対応していく能力、としている。

この本

最初の検討で、キー・コンピテンシーとして、「異質な人々から構成される集団で相互にかかわり合う力」「自律的に行動する力」「道具を相互作用的に用いる力」という3つの力と、それを「省察・振り返り」することと提案している。そして、これが、「21世紀型スキル」として各国が教育に取り込み始めた。

言葉の定義など詳細な議論を経て、また、2030年に向けたウェルビーイングという「私たちが実現したい未来(The Future We Want)」を見据えて、2030ラーニング・コンパスという概念を提起している。この中で、持つべきコンピテンシーとして、知識・価値観・スキル・態度の4つを置き、「変革をもたらすコンピテンシー」「新たな価値を創造する力」「対立やジレンマに対処する力」「責任ある行動をとる力」の4つを身に付け行動できることと置いている。行動では、見通し→行動→振り返りというACCサイクルを提唱している。(下図:https://core-net.net/keywords/kw_010/

Education2030

コンパスという見せ方は、個人的には素晴らしいと思う。変化の時代に必要なのは、地図ではなく、コンパスなんだと「9プリンシプルズ」で学んだ記憶がある。


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