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ミスタードリラーが生まれるまでの話 -第2回「知・好・楽な人達」

新卒で入社したナムコは、社員達が「遊ぶように仕事をして」、「仕事をするように遊んでいる」不思議な会社だった。

新卒で入社したナムコの第一印象は「不思議な会社」でした。
出社しても、机でで仕事らしい仕事をしている人はほとんどおらず、遊んでるのか仕事してるのかよく分からない。…というか、どう見てもひたすらゲームして遊んでいるようにしか見えない。
出勤や退勤時間もバラバラで、お昼過ぎにフラッと来る人がいるかと思えば、朝から机の下で寝袋で寝てる人もいる。ここは本当に会社なのか?自由過ぎる…
当時は不思議としか思っていませんでしたが、今思えばこの自由さこそがゲームセンターやコンシューマーでヒットを連発するための源泉だったんですね。
会社のポリシーからもそれは伝わってきました。「知・好・楽」「ウィルマインド」。

誰かに言われて何かをやるのではなく、自分からやりたいことを見つけて動くことの大切さを会社に入って一番最初に教わりました。今で言う「アクティブラーニング」ですね。その教えは30年経った今でも大切に思っています。

新人研修はファミスタ制作??

入社当時、コンシューマー開発部はプロジェクト制をとっており、自分が配属されたのはファミスタなどのスポーツゲームを主に制作するプロジェクトでした。上司は元祖ファミスタの生みの親!自分にとっては直接話すのも畏れ多いほどのレジェンドです。

そして、研修もしてない素人同然の私に任された仕事はなんとファミコン版「ファミスタ’94」のメインプランナーでした。
数年前にスーパーファミコンが発売され、メインプラットフォームはそちらに移っていったとはいえ、毎年50万本は売れるドル箱タイトルです。
そのプランナーを入りたての新人に任せてくれるなんて…
驚きつつも、任された嬉しさと責任感に緊張したことを憶えています。

個人的には、対人対戦野球ゲームの最高峰は「ファミスタ」だと思っています。リアルさという意味では3Dで球が飛んでくる野球ゲームの方が上かもしれませんが、コースや緩急を使い、ストライクゾーンギリギリを見切る投打の駆け引きは、2Dだからこそ誰もが体感できるシステムに落とし込まれていると思うのです。ゲームはリアルにすれば良いというものでは無いということをレジェンドから教わりました。


つづく

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