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建物には建築家の思いも込められて

建物には建築家の思いも込められて

かつて見た大きな吹き抜けに建築家の思いも感じて

2年半の間、九州で単身赴任で過ごした。その間に九州
で様々な建物や空間にふれた。博多にあるこの大きな
吹き抜けもその一つ。設計を手掛けたのは、当時39歳
であった黒川紀章。この建物に九州で出会わなければ、
他の建物にも興味を示していなかったかもしれない。
九州で途方もない建物に出会い、建築家の作る空間を
体感した。そしてノートを綴り、その思い出にひたる。


そして奈良でも黒川紀章が手掛けた建物へとやってきた
アプローチの横の水盤を振り返りつつ
ゆるやかに湾曲する天井の下
地下への展示室へと続く階段を降り
立体的な空間構成を体で感じ
水面は天井に光のゆらぎを作り出す
壁面に散りばめられたアートや
光が差し込む坪庭の設えを楽しんで
梅桃桜。入江泰吉がとらえた大和路の花の写真を
楽しんだ後は、外部とつながるギャラリー空間へ
大きなピクチャーウィンドウは空間に光を満たし
建築家のデザインしたハイバックチェアが印象的
掘り込まれたサンクンガーデンから光は地階へ差し込んで
連続した空間を作り出す
岩倉榮利のカムイチェアが並ぶ資料閲覧室には
入江泰吉の大型の写真集
建物に広がる空間や細部をたどりながら
頭上に広がる空間を仰ぎ見つつ地上階へ
建物に散りばめられた仕掛けを楽しみながら
外壁は一面ガラスとなり内外の境界をあいまいに
階段という空間は中心にすえられて
外部の水盤と一体となるような構成に
天井が床に映り込み、空間はより広がるよう
またいつものように見取り図で位置関係を確認したら
内部空間を後にしてアプローチのほうへ
水盤が作り出す光の文様を楽しみつつ
迫力のある本葺きの瓦屋根の建物を後にして
外部は掘り込まれて、明るい地階の空間を作り出している
建物の周囲をぐるりとまわって
水盤の向うに立つ建物を眺めて
建物は地階に埋め込まれて高さが抑えられている
奈良の地では、池に浮かぶオブジェが角のようにもみえてくる
浮遊感のある屋根のシルエット。驚きの外観だ

黒川紀章が手掛けた空間への旅も続けよう

外部と内部のつながりを感じる建物へ


ここは隣に新薬師寺が建つ場所。建物は周囲の景観に
沿うように低く抑えられ、奈良の歴史をたどるような
瓦屋根は、ガラスにより宙に浮く斬新なデザインに。
エントランスから地下へと続く階段を下りる。その
構成に関西国会図書館や、竹中大工道具館を思い出す。

建物で出会う空間に共通点を見出して

いつかの旅を思い出し楽しんで

敷地全体を使った大胆なランドスケープデザインは、
水盤の仕掛けとともに、建物と一体となって豊かな
空間を作り出している。黒川紀章の手掛けた建物を
体全体で感じ、心躍るひとときを楽しむことができた。

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