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建築に込められた想い。時代をこえて受け止めたい

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建築には、それらを作った人の思いが詰まっている。そんな思いを感じることができればと、建築を見に足を運びます。
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2022年1月の記事一覧

古賀市の思いが込められた文化芸術の発信地

リーパスプラザこが 交流館 (古賀市生涯学習センター)久米設計 2016 大楠アリーナを後にし、3号線を北上する。 鹿部の交差点を曲がり住宅街へと入っていく。 しばらく走ると、右手に公共施設が見えてくる。 エントランスの庇の水平ラインと、白く細い 円柱、外壁の連続する垂直ラインの組み合せが 人影のない中でただならぬ存在感を放っている。 まだ早朝なので建物は開館していない。ひとまず、 自転車を降りて、建物のまわりを歩いてみる。 エントランス庇の天井は木調の仕上げで、 広い

九州産業大学のこだわりのあるデザイン

昨年のことになるが、休日の自転車 ライフを満喫すべく、宗像を目指し サイクルレーンを北上していくと、 途中、新しく美しい建物が現れる。 大楠アリーナ 2020  梓設計 九州産業大学の創立60 周年を記念して 建設されたスポーツや式典などのための 複合型アリーナである。白いオブジェ のような柱は、大学のシンボルツリーで ある楠をイメージしデザインされている。 建物から持ち上げられた庇の浮遊感、 シャープに大きくせり出した迫力も、 軒裏は明るい木目により優しい感じ、 軽や

木々の向こうのただならぬ気配

昨夏のある日の午後、博多の街を自転車で のんびりと走っていると、木々の向こうに ただならぬ気配を感じた。巨大な石の塊の ような建物は、最近の美術館建築にも見える。 その六角形の建物は、県庁の議会棟であった。 福岡県庁舎の議会棟 1981 黒川紀章 その姿を、悠々と水面に映していた面影は今はない。 干上がった池に建つ建物は、砂漠のピラミッドを彷彿 とさせる。ガラスに越しに庭園を眺めることができた レストランは、昨年3月末に閉店しひっそりしている。 六角形であることで、内か

一台の車のためにある空間

博多から北へ向かう3号線沿いにはアルファロメオ、 ボルボ、マクラーレンなどの自動車のショールーム が点在している。こちらはランボルギーニ福岡である。 鋭い走りを彷彿するようなエッジの利いた入り口。 軒裏の白いラインが、建物の形を際立たせている。 建物の柱や看板の側面と、展示された車の白色に より統一感のあるシャープな色調となっている。 ショールームに展示してあるのは一台であるが、 その圧倒的な存在感は、空間全体と呼応している。 躍動感あるデザインにより、その車は今にも