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ミュージアムへのいざない。アートだけではない楽しみがある

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入り口までの期待感や周りの風景を取り込んでいること、アートの展示だけでないミュージアムの魅力。アートとよい関係をもつミュージアムに物語を感じる。素敵なミュージアムを求め旅に出よう。
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#ミュージアム

東大阪にあるANDO建築を訪れて

東大阪には魅力のある建築が散りばめられて ANDO建築はひとつのカテゴリーにも 近畿大学の東大阪キャンパスに散りばめられた様々な デザインの建築を楽しんだ。東大阪にある魅力のある 建築といえば、ANDO建築もそのひとつ。木々の中に ひっそりと建つコンクリート打ち放しのシルエット。 そこは偉大な作家の自宅の、いくつもの物語がつむぎ 出された書斎の側に記念館として2001年に開館した。 建物は地下に掘り込まれることで、雑木林に包まれる 司馬遼太郎は東大阪氏の名誉市民にも

わくわく感がある建物といえば

長崎県庁舎を後にして歩きの旅を続けよう。歩きと いっても、次の目的地へは長崎駅に戻り、そこから 路面電車での移動だ。そして電車を降りてまた歩く。 今度は山手の道を進んで、わくわく感がある建物へ。 そして目指すのは、以前にも取り上げた長崎市科学館 2019年にリニューアルされた長崎市科学館 以前の記事で、象のアートも紹介した 長崎市科学館を楽しんだ。科学館にはさまざまな思い が詰まっている。それぞれの土地によって、設計者の コンセプトを色濃くうける外観。建物の色、形やプ

図書館のそばのミュージアムとその向こうの建物へ

北九州市立中央図書館を楽しんだ後、隣接した敷地に 新しく建てられていたミュージアムへ。まずは建物の 低く抑えたシャープな軒先を引いたアングルで。屋根 の向こうの建物が気になりつつ、ミュージア厶の中へ。 ここは2022年4月に開館した北九州市平和のまち ミュージアム。平和の大切さ、命の尊さを考える場、 そして戦争の悲惨さ、その記録を伝える施設である。 大正ロマンの薫りがただよう街並みだ 2022年の資生堂のCMにモガファッション 悲惨な戦争の連鎖が断ち切られることを願い

九州芸文館は斜めのラインであふれている

筑後船小屋という新幹線の駅前に広がる公園に建つ 九州芸文館は、隈研吾氏による設計である。2013年に 開館しているが、その斬新さは色褪せていない。建物 は低層に抑えられつつも、そのダイナミックな外観は 風景を作り出す。建物が集落の屋根の連なりや山並み のような雰囲気を持つ。まずは周囲から回ってみる。 隈研吾氏が設計する建物には、斜めのラインが多いと 思うが、ここではそのデザインが顕著である。屋根や 天井の勾配にあわせ、開口部も斜めに設けられ、全体的 に斜めデザインの連続性が

ものづくりの殿堂にふさわしい空間

竹中大工道具館 2014  竹中工務店 日本で唯一の大工道具の博物館である。 収集された資料は35,000余点にものぼる。 新神戸駅から歩いてほど近くにある敷地は 自然と調和し、周囲の山並みに溶け込んでいる。 和風門をくぐった緩やかなスロープの先に、 むくりの付いた瓦、軒裏の木の色合い、 水平ラインが美しい屋根が見えてくる。 石畳のアプローチはゆるやかに折曲り、 緑と一体となった建物はさまざまな表情を見せる。 階段の端部のゆるやかな立ち上がり、 外構の手すりの支柱を

いつまでも冒険心を持ち続けていたいと思う

植村直己冒険館  設計 栗生 明 1994 兵庫県 豊岡市 植村直己の『知恵と技術』に加え、『ひととこころ』 を後世に伝えるための施設として1994年に開館した。 今年4月にリニューアルしたとのことで、随分前に、 まだ小さい子供達を連れて訪れたことを思い出した。 植村直己(1941-1984 )は、 1970年に世界最高峰のエベレストに 日本人で初めて登頂した人物である。 1984年、冬期のマッキンリー単独登頂後、 下山中に消息を断ち、帰らぬ人となった。 植村直己か