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教員免許を考える

どこまで認知されているかわかりませんが、教員免許状は国家資格ではありません。なので、一般的な形・・・つまり取得したい教員免許状に対応した教職課程のある大学・短期大学等に入学し、法令で定められた科目及び単位を修得して卒業した後、各都道府県教育委員会に教員免許状の授与申請を行えば取得できます。

教員免許状を授与するのは都道府県の教育委員会であって、資格試験(検定)のような全国統一の資格試験を受ける必要はありません。

大学での学び、必要な単位修得が、教員免許を付与するにふさわしい力量を保証するという前提で運用されているからこそ、どこの都道府県で取得しても全国で通用するわけで、そのあたり自動車運転免許によく似ているかもしれません。

もちろん、教員免許を持っているからといって教壇に立てるわけではありません。公立学校であれば都道府県や政令指定都市の教育委員会が実施する教員採用試験に合格し採用される、私立学校であれば学校法人等が行う採用試験等に合格し採用されなければなりません。

なので、免許取得の段階では教員になるための必要条件に過ぎず、採用試験の際に「ふるい」にかけられ、教員としてふさわしいかどうか、その質が測られ、担保されているとも言えます。

このあたりが自動車運転免許と違う点で、取得すれば(更新していれば)、ペーパードライバーであろうが、運転技量がどうであろうが公道を走れる、つまり教壇に立てるわけではありません。

教員免許取得が一種免許(第一種運転免許)の段階だとすれば、教壇に立つためには二種免許(第二種運転免許)、つまり運賃をもらってお客様を輸送する免許を取らなければならない。そんなイメージが近いかもしれません。

しかし、自動車運転が経験を積みながら上手になっていくように、教員も実際に教壇に立ち、学校という場で仕事をしてこそ磨かれ、成長していきます。現場で裏打ちされた経験こそ、教員としての力量を高めていく、一番の「評価」であり「資格試験」です。

2009年、教員免許に10年の有効期限を設ける「教員免許更新制」が導入されましたが、その実態がめざす形にほど遠く、2021年11月に末松文科大臣が「2022年の通常国会での法改正を目指し、2022年度早期に廃止したい」考えを明らかにしました

有効期限前の2年間のうちに30時間以上の講習を受け、免許更新を修了する必要があるというものの、その中身が極めて形骸化したお粗末なものであったことが大きな要因です。

ただ、文科省によると、教員免許更新制の「廃止」ではなく、あくまで「発展的解消」であり、教員免許更新講習に代わる新たな教師の学びのあり方を検討しているとのこと。

この先、どのような制度になるかわかりませんが、どう考えてもいまの教員免許はその取得や更新の有無を含めて、学校を取り巻くさまざまな現実に合ったものとは言い難いのが正直なところです。

児童生徒の成績評価をどうするかといった視点同様、教員のスキル(力量)評価についても、規制の枠組みで論じるのではなく、実態に即した「新たな枠組み」をつくる方向でアップデートされるべきだと思います。

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