玉ねぎを好きなのは誰なのか?

目を覚ますと彼の姿はない。
冷蔵庫には1週間分の料理が詰められ、彼の優しさを感じると共に、少しだけ申し訳なさを感じる。
とりあえず私はワイシャツを羽織ると、テーブルに残された、まだ暖かい朝食を摂る。

目玉焼きにかけられた塩胡椒、味噌汁に入った玉ねぎ。
彼が作ってくれた優しさは、きっと彼に向けられたあの人の優しさであり、それは私を少しだけ救うとともに、苦しめるということを彼は知らない。

私は涙を少し溜めると、いつもより少し塩っぱい味噌汁を一口飲んだ。
無意識に出たため息は、誰の為のものなのか?
私はワイシャツの袖をまくると、昨日のことを思い出すように唇を噛んだ。

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