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移転に向けての物件探し、エリア調査の話

前回のnoteにて話をさせていただきましたが7月の末に急遽、我が社の旗艦店を移転することになりました。

元々は中央区の八丁堀で運営していた店舗ですが、モデル的には東東京エリア(主に渋谷や新宿など)の方がマッチするのではないかと考えていたこともあり、渋谷に絞って物件を探すことにしました。

新宿を外した理由はシンプルで、コンセプトの再設計を考えたときに、最もハマる街は新宿ではなく、渋谷だと判断したからです。

東京で生活する方なら感じることだと思いますが、新宿・渋谷・恵比寿・池袋・六本木など、いわゆる繁華街と呼ばれる街であっても持ち合わせる空気感や表立って見える光景というものは全く違います。

特に私たちがやる飲食店というのは不特定多数の方に利用してもらう、ということはなく、何かに共感してくださっているから利用していただける、というモデルが多いです。

今回、移転をするにあたりコンセプトを改めて見つめ直し、何を強みとして何を提供して行くのか、ということを改めて考えました。
そこから導き出される店舗スペックを条件として、物件探しをスタートしました。

とはいえ、渋谷という街で出店するのは初めてなので、まずはとにかく歩き回って街全体を見て、それぞれのブロックの特徴を見て、それぞれの通りの雰囲気を感じとることから始めました。

一言で渋谷といっても様々なエリアが点在しています。
ものすごくざっくりとしたことを言えば、円山町はホテル街&クラブ街、神南エリアはショッピング街、道玄坂エリアは大衆飲食階、松濤エリアは個人系飲食街。

その中でも道を一本渡れば全く違う顔を見せたり、どのエリアにも魅力的なお店はあって絞り込むのはなかなか大変でした。

全体の雰囲気をなんとなく把握し、いよいよ内見を始めます。
初日は4件ほど、上に書いたエリアの中で特に絞り込みをせず以下の条件のみで探してみました。
・坪数:25〜40坪
・階層:B1~2F
・坪単価:~4万円
居抜きやスケルトンには拘っていませんでした。

物件を紹介してくれる不動産屋さんには物件を見ながら私の条件をお伝えし、それにあたるその他の物件も紹介してもらう、という流れで最終的には30軒ほどの内見となりました。

居抜きの物件を何軒か見たとき後、多分居抜きである必要はない、というかスケルトンのほうが良い、という判断をしました。

もちろん居抜き物件を選ぶ金銭的メリットはわかりますが、コンセプトを初めから決めて探す場合、よほどのことが無い限りイメージにあった居抜きなど存在しないということに気がついたからです。

結局居抜きを選んでも壊すところからスタートしては逆にイニシャルコストが膨らみます。活かそうとしてもレイアウトの制限があったりもします。
とにかく小さく安く初めたい、という場合を除き、最終的にはコスト削減のメリットを感じられないと思います。

また、エリアもおおよそ絞っていきました。
私たちのモデルをやるにあたって、まず候補から外したエリアは松涛(いわゆる奥渋)です。
もちろん、とても閑静かつ素敵なエリアではありますが、現在あるお店の属性を見ていると商品(飲食物)コンセプトがあり、客単価が比較的高めで、席数が少ないお店が多いエリアです。
また、賃料の目線も高く、目的店として高いレベルにないと成立しないと判断したためです。
私たちもどちらかというと目的店ではありますが、回遊する層の不一致も感じられました。

次にセンター街近辺のエリア。
ここは交通量も多く(おそらく渋谷で一番)、飲食店の数も非常に多いエリアですが、私たちのターゲットとするペルソナを考えるとこの辺りの飲食店にはあまり行かないであろうと感じます。

他にも排除したエリアにはそれぞれ理由はありますが、キリがありませんので割愛します。

最終的には立地、賃料、その他スペックにおいて納得できる物件を見つけることができました。
それが正解なのかどうかは営業を始めていない現時点においてはわかりませんが、ここなら自分たちのやりたいことを実現させるイメージができる。
そう思えたことが一番の理由です。

今回、ほぼ1ヶ月間渋谷という街に通い詰めて、様々なお店を見て、様々な物件を見たことでいろいろなことがわかった様な気がします。
(何よりそういう視点で渋谷の街を歩いていたので、かなり詳しくなれたと思います)


店前交通量が多ければそれで良いわけでもなく、新しければそれで良いわけでもない。タイミングも重要、これはある意味で言えば恋愛と似ているのかもしれません。

数字や実態というエビデンスもありつつ、ここぞというときは直感や気持ちを大切にして判断したつもりです。

今は店舗デザインと商品開発を進めています。

私たちにとって初めての渋谷。
街にとってどの様なポジションをとっていけるのか。それが果たして自分たちの思った通りに行くのか。
私個人としては楽しみでなりません。

こんな時期にコストかけて出店するなんて、、という声もあるかもしれませんが、飲食には正解がなく、正解に合わせて行くための努力をどれだけのエネルギーを使ってやり続けられるか。というところが最も大切だという持論に則り、頑張っていきたいと思います。

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