カスタマーエクスペリエンスを向上させるために大事なこと
カスタマーエクスペリエンスについて考えることが多いんですが、最近このようなツイートをしました。
近年、デジタルとリアルを融合させた顧客コミュニケーションが注目されています。
デジタルとリアルで顧客の行動情報を収集し、それをトリガーとして最適なタイミングで最適なコミュニケーションをはかることは、確かに大事なんですが、それって逆に発見という機会を奪っているのではないか?と、この問いにぶち当たっています。
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
「この商品を見た人がチェックしている商品」
これは、顧客一人ひとりの趣味嗜好に合わせた情報をデジタルで活用し、エモーショナルな接客をすることで感動体験を与えるレコメンドエンジンでよく見かけるタイトルです。
このタイトルが非常に重要なわけですが、カスタマーエクスペリエンスを向上させることが目的なのであれば、顧客一人ひとりの趣味嗜好に合わせた商品提案は少し間違っているような気がしています。
リアル店舗では人が接客をするため感動体験を与えやすいと思いますが、ウェブでリアルと同じ接客ができるのは有人チャットくらいで、ウェブ上での接客は、ポップアップやサイトカスタマイズによるパーソナライズド化しかありません。
しかし、ポップアップやサイトカスタマイズによるパーソナライズド化では、リアルでの接客と明らかに異なるのではないでしょうか。
世の中にある多くのアイテムには、担当された方の想いが込められているはず。ただ、それが伝わってくることってあまりなく、そこに目を向ける人もまだまだ少ない気がする。
長田さんの『僕らは「文脈」を買う』に、モノを買う動機について書かれていますが、「担当された方の想いが込められているはず」とは、全くその通りで、これは商品が持つストーリーを語ることと同じで、やはり担当者の想いも語られるべき重要な要素じゃなければいけないはずです。
リアルではスタッフがインフルエンサーとなり、120%の愛情で商品を語ってくれます。更に、インフルエンサーよりも強力なのが、友人知人からのクチコミですね。
もちろん、パーソナライズド化させることも大事かもしれませんが、ECサイト上で感動体験を与えるのであれば、コミュニティを作って、影響力ある人に語ってもらう場を作った方が態度変容を促すことができるわけです。
話は変わりますが、先日、ユニクロが雑誌作った影響なのか、アーバンリサーチも小学館と組んでコンテンツの編集に力を入れてきました。
服だけでなくコスメや旅行の記事もあり、雑誌に近いコンテンツの作り方をしています。このコンテンツ群をザッと眺めていると、アパレルだけではなく、そのテーマは崩すことなく、ライフスタイルの提案をしているように思いますが、新しい発見ってこういうところからですよね。
行動履歴に基づくレコメンドエンジンや、同じような商品を購入している人が何を購入しているかを提示してあげることも大事ですが、それに加えて、新しい発見がWebでも必須なのかなと。
その点、リアル店舗では「新しい発見」があります。
スタッフと交わす会話から紹介される「その発想はなかった」というオススメ商品は新しい発見ですよね。
また、店舗に行くたびにお店のコンセプトというか、推したい商品は変わっていますし、店内を歩いているだけで、新しい発見はそこら中に転がっています。
ご存知の方も多いと思いますが、ニューヨークのチェルシー地区に「STORY(ストーリー)」というコンセプトショップがあります。
商品が売られているというだけではなく、そのテーマの“STORY”を体験し、アイデアやデザインの素晴らしさを知ることができる体験型ショップです。
テーマが季節毎に異なるので、雑誌っぽい店舗作りをしていますが、この雑誌っぽいコンテンツをWebで作ることができれば、新しい発見ができるメディア型のECサイトになっていくのではないでしょうか?
メディア型のECサイトって、もう聞かなくなりましたが、雑誌っぽいコンテンツが作れているECサイトはほとんどないとおもってます。
北欧、暮らしの道具店がメディアECの先駆けですが、雑誌っぽいか?と言われると、僕はWebっぽさが出てるなと。
雑誌っぽく作るのであれば、大、中、小のコンテンツ群から、来訪者に何をして欲しいのか?というところまで落としこんで、全体を設計できていないのかなと。
捨てコンテンツという言い方はどうかと思いますが、それに近いコンテンツも必要で、コンテンツを通して、読み手にどうなってほしいのか?まで考えていく必要があると思います。
カスタマーエクスペリエンスを向上させるためには、ユーザーの興味関心に合わせたコンテンツだけではなく、新しい発見ができる、雑誌っぽいコンテンツや店舗を作っていかなければいけないなと、日々考えているところです。
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