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詩)今日の終わりに yasuhirom

暮靄に包まれた秋の日暮れ
返し忘れたニーチェの言葉が
机の上から僕を見る

神なき世界のかよわき住人が
昨日もそして今日も
自分の理屈を並べ立てる

職場でカフェでブラウン管で
つばきをまき散らしながら・・・

ああ、母の背中で聞いた子守歌は
「つひに忘られてしまったか」

懐かしい温もりと悲しみが
痛みのように蘇る

 十五で ねえやは 嫁に行き
  お里の便りも 絶え果てた

今日の終わりに ひとり静かに
思いを巡らすのであった

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