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コトラーのB2Bブランドマネジメント-第6回成功事例

こんにちは。写真は大阪府南河内郡にある近つ飛鳥博物館です。安藤忠雄氏の作品です。自然の中に囲まれた博物館で周辺の古墳群と一体化した建物です。

さて、今回はコトラのB2Bブランドマネジメントについて、第7回として5章の成功事例について書きたいと思います。

B2Bブランディング11

成功事例

以下の表が本書で紹介されている成功事例です。

B2Bブランディング 成功事例

どの企業もグローバルでそのブランド力を構築することに成功している企業ばかりです。いくつかの事例間に共通点が見られます。その一つはB2Cでの事業を活用しながらB2Bビジネスに生かしている点です。馴染みのあるところでは、サムスン(韓国)でしょう。サムスンは20年くらいに遡れば、私たち日本の消費者にとっては日本の電機会社の模倣品を作っているくらいのイメージだったかもしれません。

本書にも以下のようにコメントされています。

1990年代のサムスンは、ソニーや東芝に手が届かない場合に買われれるブランドだった。

それが今やブランディングの観点から見ると世界5位、アジアパシフィックではトヨタを凌ぎナンバー1のブランドとなっています。

低コスト品のイメージを払拭するために単一ブランドとして最先端でスタイリッシュな製品提供を目指し、すべてのステークホルダーとの一貫性のあるコミュニケーションを行いブランドアイデンティを確立しました。そして、オリンピックのスポンサーなどを通してブランドの認知度向上をなし遂げました。やがてはインテルの売上を上回り、同社との良いパートナーとなるという計画を掲げ、両者に相乗効果をもたらすことにも成功しました。B2Cでの地盤を活用しながらB2Bでの拡大にも一貫したブランドアイデンティティを追求することが成功の鍵となっています。

一方で、B2C製品を持っていない企業にとってのブランディングはサムスンのようにはいかないと思います。ランクセス(バイエルの化学部門のスピンオフ)やシーメンス、タタといった企業は元々が大企業であり、企業ブランドは既に確立されているとも言えるでしょう。

では、もともとB2B型の中小製造業のような場合はどうすればブランディングができるのか?その点は本書の成功事例だけでは説明しきれていないのではと思いました。以下に2つの方向性を補足したいと思います。

技術力のあるB2B企業の場合

例えば、圧倒的にイノベーティブな技術力がベースにある場合、インブランディングのアプローチが有用です。

B2Bブランディングインブランディング

前回、インテルの「インテル入ってる」のことを書きました。他の例としてはゴアテックスもインブランディングによって強固な地位を築いています。

B2B企業の to Cへの取り組み

以前に奥山清行氏のビジネスの武器としての「デザイン」に紹介されていた事例が非常に興味深いです。

それは、ヤンマーが期間限定で展開した「THE FARM TOKYO」というBBQもできるカフェです。

この取り組みは直接の顧客である農家にとっても経済的に貢献するという目的も達成でき、また、企業としてのアイデンティティを消費者に伝えるだけでなく従業員にも認識を深めることができます。ビジネスとしてこのカフェがどの程度の利益をもたらしたのかはわかりませんが、ブランディング活動として考えると有益なブランド資産への投資と言えるでしょう。

上記、2つの例はB2B企業として、to Cへの取り組みを表しています。消費者向け製品があれば比較的容易ではあるかもしれないですが、そうでない企業はいかにアプローチするのかを真剣に考えてみること。取引先とのビジネス関係に忙殺されているとどうしても目がいかない視点ですが、ブランディングは一朝一夕でできるものではありません。そのことを肝に命じて経営者は目を向けるべきでしょう。

次回は、落とし穴と将来展望についてです。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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