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「52ヘルツのクジラたち」を読んで

知人が良かったという話をしていたので週末に読んでみることにしました。

時々見かける児童虐待のニュース。ニュースになるのは命を落として重大な事件となったようなものだけで明るみになっていないような悲惨なことも多くあると思います。

耳にするだけでもつらくなってくるような話です。これまで普通の傍目から見ると良い環境良い生活をしているような人でも何かの拍子で害を加える立場にも虐げられる立場にもなりえます。

守りたいという気持ちが強ければ強いほど、もう一方に対しては強い敵意となって表れてしまうことがあります。また、守りたいと思う気持ちがあるのに理不尽な対応を受けてしまい声を上げることが出来なくなってしまいます。

主人公のキナコにしても、つらい目にあっている子供の時に声をあげていればもっと早くに違う人生を歩むことになっていたのかもしれないけど、心の中にある母親への愛情がどうしても捨てられずにひどい子供時代を過ごしたのだと思います。

でも、どんなにつらいことがあっても人は一人ではない。助けるだけでなくて、人を助けることが自分を助けることにもつながる。

人との関係性は親子の関係性をよって築かれる部分が大きいです。

ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。いつまでも貰ってばかりじゃいかんのよ。親になれば、尚のこと。

「52ヘルツのクジラたち」より

もし親子の関係がうまくいかなかったとしても希望を失ってはいけません。

人は一人では生きていけないからです。たとえ、その声が他の人には届かない52ヘルツであったとしても。きっとその声を理解してくれる人はいます。

一人っきりになりたいと願ったとしても、人はどこかで人と繋がっていることで生きる力を得ることができるからです。

孤独を感じて、自分の声なんて誰も聞いてくれないと失望してはいけないのです。

すごくつらく悲しい話なんですけど、最後に希望の光を見ることができて少し安心して本を閉じることが出来ました。

もうすぐ映画化作品も公開になるそうなので観てみたいと思います。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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