見出し画像

コトラーのB2Bブランドマネジメント-第5回ブランディングによる加速化

こんにちは。写真は安藤忠雄氏の設計の狭山池博物館です。

今回は第5回目として第4章のブランディングによる加速化についてまとめます。

ブランドの構築には長期的な視点が必要です。なぜなら、ブランドは企業価値の主要な要素であり株主にとって重要な無形資産だからです。そして、世界中で長期間にわたって認知されること自体がブランド資産でありそのためには長期的で一貫的取り組みが求められます。

ブランド構築プロセス

ブランド構築のプロセスは下の表の如く、5つのプロセスとなります。

協力なブランド力を発揮するには、明確さ一貫性リーダーシップの3つの特性が必要となります。この3つの特性を表現する方法として上の5段階プロセスを見ていきたいと思います。

ブランド計画

計画における重要課題は、継続性関与のバランスです。

つまり組織内で以下のことを実施する必要があります。

1.継続的に変化しているという雰囲気

2.タイムリーな情報提供プロセス

3.計画立案手順の開発

4.標準書式

5.強力な実行プロセス

6.全員参加

ようするに、社内の巻き込み共通プロセスとフォーマットの開発ですね。共通フォーマットは重要ですが、あんまり型通りにしようとしすぎるとユニークさが失われることもあるので注意が必要ではと思います。

ブランディングの原則(成功に不可欠な5条件)

・一貫性

・明瞭性

・継続性

・可視性

・真正性

上の5つの中でもB2B企業で大事になってくるのは一貫性です。営業から技術、受発注業務に至るまで1人でお理解ができていないとブランド全体を傷つけてしまいます。

ブランド分析

ブランド構築は、製品やサービスの主要な属性を理解し、かつ顧客のニーズを理解し、予測することから始まる。

会社が何のために存在するのか?

我々の顧客は誰なのか?

どうして顧客は競合品ではなく、我々の製品を選ぶのか?

上記のような本質的な問いからブランド構築は始まります。そして、ブランドシェア(ブランド売り上げ÷カテゴリー売り上げ)を計算して、ブランド力の創出に取り組みます。

ブランドエクティティは、顧客のマインドの中で生まれるものです。よって、ブランドへの投資は顧客がブランドへの認識を高めるために行うことと言えます。

ブランディングエクィティを段階的に顧客の中で構築するモデルとして、以下のKellerによる顧客ベース・ブランド・エクィティピラミッドを活用することができます。

ブランド戦略

ブランド戦略は、ブランドの中核と製品、価値、ブランド連想に基づきます。

メルセデスベンツのブランド戦略は以下のようになります。

中核・・・永遠の情熱

製品・・・安全性、耐久性、先進性、高級感・・・

価値・・・真正性、品質、革新性

ブランド連想・・・肯定:確実、独自、ダイナミック、否定:派手、真面目、古臭い

ポジショニング

ブランド・ポジショニングは顧客の心の中で自社ブランドを「位置付ける」ことを言います。非常に重要です。そして、そのポジショニングを決めるためには顧客が誰なのかのターゲティングが明確でないといけません。ターゲット市場の明確化とセグメンテーションは数が少ないユーザーで差別化が難しいB2B市場では特に重要と言えます。

ブランドミッション

企業ビジョン・ミッションとの一貫性が重要です。

ブランドを支える指針であり、明確かつ野心的で、達成可能な事業目標でなくてはなりません。

ブランドの価値提案

その価値が消滅したら会社がなくなってしまうくらいの大切な価値は何か?会社が約束している便益の全てを指します。そして、それは顧客の認識と会社の意図が一致した場合のみ意味をなします。

ブランド構築

前述の通りブランドは時間をかけて構築し、そして修正されながら維持、発展させないと意味がありません。

ブランド構築の4ステップは以下の通りです。

(1)適切なアイデンティティを確立する

(2)ブランドの意味を創出する

(3)正しいブランドの反応を促す

(4)顧客のロイヤルティを構築する

ブランド監査

ブランド投資収益率の測定するには、8つの定性・定量的ROBI(Return on Brand Investment)があります。

・ブランド知識:ブランド認知、ブランド想起といった詳細な調査データ

ブランドポジショニングの理解:顧客セグメントの理解度測定(*)

・ブランドプロミスの実行度合い

・ブランドパーソナリティの認知度

ブランド主導型の顧客獲得(*)

ブランド主導型の顧客維持とロイヤルティ(*)

・ブランド主導型の浸透度と頻度

・財務的なブランド価値

(*)全てを実施できない場合、この3つが最重要指標となる。

考察

本章はプロセスフローについての詳細な解説であり、まとめてみると箇条書きが増えてしまいました。プロセスフローにおいては、B2BとB2Cで大きな差はないようにも思います。企業ブランドの比重が高いことというアーキテクチャーの違いはあるとは思いますが。B2BにおいてもB2Cのブランド構築プロセスを取り入れて考えるべきというメッセージとも取れるでしょう。次章においては、具体的なB2Bブランドの成功事例が出てきますので本章のプロセスと合わせて見ていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?