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コトラーのB2Bブランドマネジメント-最終回-落とし穴、将来展望

こんにちは。写真は、大阪府中之島にある安藤忠雄氏設計の「子ども本の森」です。

さて、今回を含めまして7回に分けて「コトラーのB2Bブランドマネジメント」についてまとめてきました。

今回は最終回として、6章ブランディングの落とし穴、7章将来の展望について書きたいと思います。

B2Bブランディング111

ブランディングの落とし穴

まず、ブランド立案者の陥る落とし穴の一つが、ブランドの属性だけに注目して、ブランディングのプロセス全体を考えないこと、とあります。ブランドの属性というのは、要は、ブランドの名前であったりロゴであったりという表面的な部分のことですね。「そういった見た目にだけ着目するのではなくて中身がしっかりしてないとダメですよ。」ということで、ブランド・アイデンティティとブランド・ポジションを一対の概念として捉えて、その他の外見の取り繕いは後で考えましょう、ということです。アイデンティティとは、ブランドのイメージのことであり、すなわちそのブランドの人格です。ポジションとはブランドが果たす役割といっていいでしょう。また、個別ブランドは、他のブランド、サブブランドとの関係が重要で、ブランド体系の傘の中で管理されることで相乗効果や一貫性、そして、新商品への適応が可能となります。木を見て森を水の状態になってはいけないということです。B2Bブランディングで陥りやすい落とし穴として以下の5つが上げられています。

1、ブランドは自分(企業)のものではない

 ブランドは顧客の心の中で構築されるものです。

2、ブランドは自然とは育たない

 投資・維持・管理されなくてはなりません。

3、ブランド認知 vs ブランド・レレバンス

知ってもらうだけではなく、関連性のあるブランドメッセージが必要です。

4、目隠しをしない

顧客の見方を理解しようとせず社内の見方だけに頼ってはいけません。

5、自分の仕事を外部に任せない

広告代理店やコンサルタントに任せず統合的アプローチを取ること

特に1、2そして、はB2Bにとって重要な視点だと思います。ブランド資産は顧客の中で構築される、そして、そのための投資が必要なこと。特に、長期的視点に立ってブランディングに投資をすることは難しい面がB2Bビジネスにはあります。長くその業界にいれば余計に投資しなくても自社にとっての重要な顧客とは既に関係ができています。直接の顧客でもない消費者にブランドを認識してもらった利益がでるのか? 末端の消費者にまで、ブランドが認識されるにはじっくりと時間をかけて育むことによって自社の資産となることを理解する必要があるのです。そう考えると、3も重要です。なぜなら、ただ知ってもらうだけでなく、その存在意義を再認識してもうらうためのメッセージを届けることがブランディングだからです。5については、外部の広告会社やコンサルタントをうまく使うかはやはりブランド担当者の手腕にかかってきますよね。

将来展望

本書の最後の章では、B2Bブランディングのトレンドについて、以下の4つの点が紹介されています。

1、社会的責任

SDGといった取り組みは、CSRの枠を飛び越えて、企業が持続的に利益を生むための目的として重要です。

2、中国

中国発の企業がグローバルブランドの源泉となっていることを私たちは再認識する必要があります。

3、デザイン

デザイン戦略はますます重要となりブランドアイデンティティとの徹底的な整合性と最適化が入念に行われる必要があります。

4、ラブマークとブランドリーダーシップ

ラブマークとは、単なる認知やロイヤルティの域を超えた商品のことです。マクドナルド、コカコーラ、スタバなどはもし無くなったら抗議デモが起きるかもしれません。

最後に

B2B、産業財におけるマーケティング、ブランディングはB2Cと違って、効果測定の難しさやそもそも直接の顧客数が限定的な中で必要性に対しての疑問もあって、なかなか浸透を深めるのが難しい面があると思います。一方で、本書で紹介されている通りインブランドなどで最終消費者にまで認識されグローバルブランドとしてその意義を構築している企業は多くあります。また、いったん構築されたブランドは、消費財と違ってそう簡単には崩されないポジションが確立できます。その点からもB2B企業こそブランディングの構築は必須で、また、自社の素材が消費者にどのように使われているのかを理解し、消費者にも理解してもらうことが重要だと思います。

本テーマは私自身のもう少し掘り下げていかにB2Bブランドを構築するかを考えていきたいと思っているので、また、他の関連書籍についても書きたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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