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サンクコストの沼から顧客を救ってあげよう-行動経済学の理解と実践11

買った本を少し読み出してつまらなかったって感じた時、あなたならどうしますか?
せっかく買ったしもったいないから最後まで読むか、時間の無駄ということで読むのやめるかの2択です。
前者を選んだ人は「サンクコスト」の沼にハマっているかもしれません。

すでに投入して回収できない費用(サンクコスト=埋没費用)を無駄にしたくないという思いから、損することが分かっていてもやめられなくなってしまうことを。
サンクコストは、Sunk(沈むの過去分詞+Cost(お金)のことで、沈んでしまって戻ってこないお金のことです。

最後まで本を読んでも買ったお金が戻ってくるわけではないですし、つまらないままで読み終えた時には時間まで無駄にしたことになります。

さらにコストをかけずにやめてしまった方が良いのですが、頭ではわかっていてもどうしてもこれまでの投資のせいで合理的な意思決定ができない状態になっています。

サンクコストの沼はビジネスの世界でもよくあります。初期投資の回収が見込めないにも関わらず、失敗を失敗と認められなくてずるずると事業を継続してしまいます。

保険の契約でも、これまで支払った保険金額が引っ掛かり満期まで払い続けてしまうということがあります。これもサンクコストです。

もちろん全てをやめる(損切り)のが正解とはいえません。本だって最初つまらなくても最終章ですごく面白くなるかもしれません。重要なのは、これまでの投資額のことは頭に入れずに将来のリスクを冷静に判断する必要があります。

サンクコストにハマった顧客を救うには?

これまで使ったお金を無駄にしたくないという思いが追加のお金の支払いを生んでいる。「もしかしたらここでもう1回追加投資したら挽回できるかも」という淡い期待で顧客ががんじがらめになっているとしたらどうしますか?

サンクコストは、顧客にとって好ましい状態ではありません。場合によっては、顧客は苦しんでいると言ってもいいかもしれません。

どうすれば救ってあげられるのか?
答えはシンプルです。真実を見せてあげるのです。

今やめるとどれだけの損切りになって、継続するとどれだけのリスクがあるのかを明確に説明してあげるべきです。

そのような方法で、ソニー生命に代表されるような保険会社が大手保険会社からの契約切り替えを勝ち取った時期がありました。

クラウドサービスなども見方によってはサンクコストと言えるかもしれません。
他に良いサービスがあってもこれまでに蓄積したデータを失いたくなくて切り替えられないということもあります。そのような顧客を救うにはスィッチすることの手間をどうすれば省略できるかを教えるサービスを展開すれば顧客を救ってあげられるかもしれません。

まとめ

顧客を苦しまるサンクコストについて説明しました。この記事は特に顧客が(他社での)サンクコストに苦しんでいることを想定しています。
自社の顧客にも継続的なサービスを提供している場合は、顧客がやめるにやめられないなんて思われいないか考えてみてください。

最後までお読みいただき有難うございます!

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