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湖池屋によるプレミアムポテトチップ市場創造戦略

日経クロストレンドの記事「湖池屋の高級ポテチ戦略 『ジリ貧スナック市場』からの脱却」が掲載されました。この中で、湖池屋のプレミアム戦略が紹介されています。湖池屋はスナック市場における独自のポジショニングを確立し、大手カルビーとの差別化を図るため、プレミアムポテトチップという新たな市場創造に成功しました。以下に、その市場創造の詳細を、これまで私が書いた記事も振り返りながらまとめたいと思います。

1. 高品質と独自性の追求

湖池屋の「プライドポテト」シリーズは、地域の特産品を取り入れた高品質なポテトチップスです。例えば、「日本の神業」シリーズでは、神戸ビーフや小豆島手摘みオリーブといった地元の特産品を使い、地域との連携を強化しています。このような取り組みは、消費者に対して日本の味や伝統を提供するだけでなく、地域経済の活性化にも寄与しています。

(過去記事:『湖池屋プライドポテト日本の神業』については、以下の記事をご参照ください。)

2. ブランドの再生と強化

カルビーが低価格戦略を展開する中で、湖池屋は高価格帯の商品にフォーカスしています。これは、佐藤章社長のリーダーシップの下、ブランドの再生と強化を図った結果です。特に「プライドポテト」の成功により、湖池屋のブランドイメージが大幅に向上し、消費者からの信頼を得ることに成功しました。

(過去記事:『湖池屋の流儀』を読んで感じたブランド戦略の重要性については、以下の記事をご覧ください。)

3. 巧妙なマーケティング戦略

湖池屋は、商品の品質向上と共に、巧妙なマーケティング戦略を展開しています。例えば、「日本の神業」シリーズのプロモーションでは、商品の特性や地域の魅力を前面に出し、消費者に対する強い訴求力を持たせています。また、商品のパッケージデザインやネーミングにも工夫を凝らし、消費者の興味を引きつける戦略を取っています。

4. カルビーとの差別化

カルビーが広く展開する低価格帯の商品と比較して、湖池屋はプレミアムラインを強化することで差別化を図っています。湖池屋は、カルビーの「堅あげポテト」や「じゃがりこ」といった商品とは真っ向から対抗せず、「プライドポテト」シリーズを通じて、より高品質で特別感のある商品を提供し、「ジリ貧のスナック市場」とは別の市場を築きました。

一方、カルビーも「グランカルビー」や「四季をめぐるポテト」などのプレミアム製品を展開して湖池屋に対抗しています。これらの商品は湖池屋のプレミアム戦略に対抗した同質化戦略といえます。

まとめ

湖池屋のプレミアム市場創造は、高品質なポテトチップスの提供と地域の特産品を活用したブランド力の強化に取り組むものです。カルビーとの過当な価格競争を避け、プレミアムラインの製品展開と巧妙なマーケティング戦略を駆使することで、消費者に対する強い訴求力を持たせています。湖池屋の取り組みは、スナック市場における新たな価値創造と競争優位の確立に成功していると言えます。

これまで書いた湖池屋に関する記事で述べた内容を参考にしつつ、プレミアム戦略の具体的な成功要因とその効果を再確認することができました。今後も経営者、マーケターとして敬する佐藤社長率いる湖池屋の取り組みには注目していきたいと思います。

参考記事:


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