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ものが生まれる「原場」へ出かけよう。九谷焼の手仕事に触れる新プロジェクト、いよいよ受付開始です

先日31歳を迎えて書いたこちらのnote、おかげさまで沢山の方にお読みいただきました。加えて『読んだよ〜!』って反応をもらえることが地味に嬉しかったりします。ありがとうございます!

今日は記事の中で記した【沢山の方々に九谷焼の生まれる「原場」と出会ってもらうこと】について、詳しくご紹介したいと思います。2020年5月、COVID-19によるコロナ禍の中、こちらのサービスがローンチとなりました!

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GEMBA(ゲンバ)はものづくりの町・石川県小松市からお届けする産業観光プロジェクト。どなたでも安心して、職人の手仕事を体感できる見学・体験プログラムに参加することができます。このプロジェクトの画期的なポイントは、以下の4つです。

1)一般には公開されていなかった九谷焼の作り手の工房を見学できる
2)九谷焼の工房ならではの陶芸体験に参加することができる
3)九谷焼の作り手と出会い、直接作品を購入することも可能に
4)お客様の希望日時をリクエスト→事前予約・決済で参加できる

・・・そんなことを言われてもピンとこない・・・という方のために、GEMBAに参加している14の工房と一押しプログラムを紹介したいと思います。

職人の手仕事を間近で。参加工房14箇所を一挙ご紹介!

1.宮吉製陶(寿峰窯)
九谷焼の制作を大きく分けると、型やろくろで成型する「素地制作」と、その素地に絵を描く「絵付」の2つに分かれます。宮吉製陶所は「素地制作」を行う製陶所で、創業は1972年(昭和47年)。九谷焼の食器や花器、骨壺まで多様な形状の九谷焼素地を製造・販売。近年では飲料メーカーの容器制作など、さらに活動の場を広げています。

11.寿峰窯(じゅほうがま__宮吉製陶DSC09396

2.五十吉深香陶窯(五十吉窯)
素地作り・加飾ともに様々な技法を得意とする工房。大正初期、石川県小松市に初代・浅蔵磯吉が素地作りの工房を開く。二代・五十吉(与作)が「浅蔵カラー」と呼ばれる色彩表現を確立。また、成形のしやすい花坂陶石の特性を生かし、素地に模様を彫り込むなど独特の世界観も構築。現在の三代五十吉(與成)は先代から受け継ぐ表現の幅をさらに広げ、現代のライフスタイルの中で心に残る作品作りに取り組んでいる。

17.五十吉 深香陶窯(いそきち しんこうとうよう)_五十吉深香陶窯DSC00420

3.宮創製陶所(陶三窯)
1914年(大正3年)に創業した窯元で、百年以上にわたり日々置物の生産を続けています。現在の主力商品は、招き猫やふくろうなど縁起物。他にも季節商品として干支や雛人形等を生産し、近年ではキャラクター商品の素地など現代的な需要に応えた多種多様な素地を生産しています。また、創業時の大正時代から昭和前期に作られた古い手起こし型を利用し、地元作家と美術工芸品を作りだす、という試みも行なっています。

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【一押し】窯元でしかできない、置物素地の排泥鋳込み体験
排泥鋳込み技法の体験を行なっていただけます。石膏型を組んで泥しょうを流し込むところから、釉薬を掛けるまで、製品が実際に出来るまでの工程を体験していただきます。
4.錦山窯(吉田幸央)
石川県小松市にある、九谷焼上絵付の窯元。1906年(明治39年)に初代吉田庄作が開業して以来、九谷焼の様々な技法を受け継ぎ、約110 年間作陶を続けています。なかでも得意とするのは金彩の技法で、初代から代々、金を使った絵付を特徴としてきました。三代美統は「釉裏金彩」の技法で国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定者。そして四代幸央は伝統を継承しながらも、時代に合った新しい表現をしています。

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【一押し】日常から非日常へ 嘸旦で感じる金の魅力と金襴手体験
2019年に開設した錦山窯のギャラリー「嘸旦」にて金箔を使った金襴手技法を体験していただきます。明治期より受け継がれる錦山窯の技や歴史について、四代目・吉田幸央が工房内を巡りながらご案内いたします。
5.陶窯 田村(田村星都)
九谷焼の技法のひとつ、「毛筆細字技法」(もうひつさいじぎほう)を得意とする作家。虫眼鏡などで拡大しないと読めないほどの細かい文字を器に描く技法で、継承者は田村さんのみ。現在は古典文学などを題材に、”日本古来の美の体現”を目指して作品制作を行っており、成形・絵付けといった陶芸技術全般を行いながら、細字技法の更なる技術習得に励んでいる。

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6.打田幸生
様々な技法がある九谷焼の絵付け。なかでも「古九谷」「吉田屋」と呼ばれる、色鮮やかな絵付けを施す九谷焼を制作しています。また、「とらや陶器店」の店主も兼務。1921年(大正10年)創業、3代にわたって続く陶磁器販売店で、歴史ある町家の中には普段使いの九谷焼をはじめ、日本手ぬぐいや扇子などの和小物が並びます。石川県陶芸協会会員、伝統工芸士。受賞歴も多数。

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7.谷口製土所
1915年(大正4年)、初代・谷口岩松が花坂陶石の採石場を開発。九谷焼の原料として県内外へと出荷し、それまでの農業に代わる町の産業へと押し上げました。1951年(昭和26年)に「谷口製土所」として創業。以来、花坂陶石を主原料とした九谷焼磁器土の製造を続けています。近年では、土の特徴と職人の高い技術を生かし、九谷焼ブランド「HANASAKA」もスタート。新しいスタイルの九谷焼を提案しています。

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【一押し】花坂陶石から九谷焼磁器土ができるまでの製造工程の見学
これまで公開されることのなかった、花坂陶石から九谷焼磁器土ができるまでの製造工程を、解説付きでご覧いただけます。どのようにして九谷焼の素となっている粘土ができているかを学んでいただけます。
8.竹隆窯(北村和義)
富山県利賀村から移築しました、古い念仏寺を工房に構えています。内部の襖絵などは東大寺の故 清水公照さんによるもの。総欅造りの仏間や弁柄壁の床の間、江戸時代の小松城の茶室を移築した「竹隆庵」も併設しています。伝統的な色絵技法と金箔をいかした様々な九谷焼を製作。ユニクロ・リーガル・ガンダム・コムサなど様々な企業とコラボ作品を制作し、全国で個展も開催しています。展覧会受賞歴も多数。

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9.佐野製陶所
大正時代後半創業、1927年(昭和2年)から三代続く九谷焼置物の窯元です。初代・佐野与四松は京都と金沢の窯元で陶技を磨いたろくろの名人。二代・幸雄は沼田一雅に学んだ伝統工芸師。現在は三代・信一郎で、原型担当の弟・光雄は都賀田勇馬(彫刻家)に学んだ彫刻家です。制作の中心は招き猫やフクロウの縁起置物。自社制作の作品を中心に展示するギャラリー、ショップも併設しています。

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10.山中國盛
戦後すぐに開窯した、上絵を中心とする作品づくりを続ける工房です。工房は2階建てで、住居兼ギャラリーの1階では作品展示を、2階の工房では実際の制作風景が、それぞれお楽しみいただけます。現在は三代目の山中國盛が作品を制作。繊細な絵付け、特に小紋の緻密な筆致が見どころのひとつ。自然への造詣も深く、九谷の色絵で描いた花鳥風月の美しさを見ることができます。

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11. 宇喜多窯
1995年(平成7年)に「宇喜多窯」として創業、活動25年目の窯元です。九谷焼の食器、美術工芸品などの素地づくりから絵付けまでを一貫して制作。得意とするのは花鳥風月や音楽に関する絵付けで、特にジャズパフォーマンスや楽器をモチーフにした作品を多数制作しています。また、工房にはギャラリーを併設しており、作品の展示・販売とあわせ喫茶スペースにてコーヒーやジュースなどもご用意しています。

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12.徳田八十吉陶房
九谷焼の名窯、德田家の三代であり人間国宝の德田八十吉の長女として生まれる。100色以上を自在に操る「耀彩(ようさい)」の技法を引き継ぎ、德田家の色をもとに独自の色彩表現を追求。歴代德田八十吉が独自研究と個性で独創的に高めてきた表現を深め続け、高い評価を確立する。2010年(平成22年)、三代目より「八十吉」を襲名。先代に授けられた技法を、さらに洗練した独自の表現として追及している。

德田八十吉陶房

13. 二股製土所
九谷焼の原材料である陶石を様々な工程を経て焼き物の磁器粘土に加工する製土工場です。二股製土所は三代前の二股徳兵衛が京都からこの地に居を移したことが始まりとされ、1922年(大正11)頃の創業以来、仏大寺川の水資源を大切につかい、約100年に亘って九谷焼の粘土を作り続けています。

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14.九谷セラミック・ラボラトリー
2019年(令和元年)にオープンした九谷焼の複合型文化施設。九谷焼の原料となる磁器土の製造スペースとギャラリー、作陶体験ができるアトリエスペースも併設。小松市で採石している花坂陶石を粉砕する原料製造から、製造工程を学べる常設展示、新進気鋭の作家たちによる作品展示と総合的に九谷焼を紹介しており、さらに希望制でスタッフによる館内案内も可能。焼き物に詳しい方もこれから知りたい方も幅広く楽しめます。

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産地の作り手と出会う、マイクロツーリズムの時代

最近ある方に「緒方さんってNewsPicksの動画、絶対好きだよね」と言われ、それまではあまり観てなかったのですが最近は意識して観るようにしています笑

今年のG.W.は有田焼や益子焼の産地等でWeb陶器市が開催され、さらに各地で産地の作り手によるオンラインショップが新たに開設されました。以前から風潮はあったものの、これから一層、「作り手と繋がる」「生産者から直接買う」という消費行動が加速すると考えています。

加えて、もちろん観光業も変化せざるおえない時期を迎えていると言われています。その一端が星野リゾート・星野代表が掲げる「マイクロツーリズム」。

私の運営する複合型文化施設「九谷セラミック・ラボラトリー」は、他県からの観光客が多いと思われがちですが、実は以前から石川県内のお客様の来館が最も多い施設となっています。

その理由は ”実はあまり九谷焼に触れる機会がないから”。ずっとやってみたかったけど、初めて陶芸体験に参加しました!というお客様が多いのも特徴です。

GEMBAで作りだしたいのは、産地の作り手と出会い、日々の手仕事に触れることができる、マイクロツーリズムの形。その可能性を潜めたプロジェクトになると考えています。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、新規の予約受付を停止しておりましたが、満を持して6月1日より予約受付を開始します!各種SNSもありますので、ご興味ある方はぜひフォローしてみてくださいね。


ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます☺️ 皆様にいただいたサポートは九谷焼のつくり手のお手伝いに使わせていただきます。