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ギリシャ語で歌う中国のブラックメタルバンド:Ὁπλίτης/Ψ​ε​υ​δ​ο​μ​έ​ν​η

謎多きブラックメタルバンド、Ὁπλίτης(ホプリテス)。古代ギリシャの「重装歩兵」を意味する言葉です。”古代ギリシア世界の重装歩兵はホプリテス(複数形でホプリタイ)と呼ばれた。ギリシア語の「ホプリテス(ὁπλίτης、ホプリーテース)」という語は、「武具」を意味する「ホプロン(ὅπλον)」という語から派生したもの”だそう。アルバムタイトルの”Ψ​ε​υ​δ​ο​μ​έ​ν​η”はどうも「私は嘘をついた」といった意味の様子。発音は「プセイドミーニー」といった感じでしょうか(Google翻訳調べ)。ギリシャ語を使ったアルバム、バンドながら実際は中国のアーティスト。Liu Zhenyangというアーティストの一人ブラックメタルプロジェクトです。2020年から”Vitriolic Sage”という名義で活動をしており、2021年からὉπλίτης名義で活動を開始、本作が1stアルバム。

このアルバムがRYM(世界最大規模のUSにある音楽レビューサイト)で話題になっており、2023年現時点では暫定3位(1月なのでこの後抜かされていくと思いますが)。非英語圏、かつ中国圏のアーティスト(でしかもギリシャ語)という不思議すぎるアーティストなのにどこで発見されたのか、現時点で500件を超える投票があり点数が3.49。RYMでこの数字はかなり高いです。

内容的には全9曲38分、適度な長さでその中では緊張感が持続します。音響もかなり良い。こうしたB級ワンマンブラックバンドとは思えない完成度です。実際に打ち込みだと思うんですが、かなり生演奏感が強い。とはいえ打ち込みの利点を生かした反復(DTMなのでコピペで反復は正確に作れる)パートは独特の酩酊感を生みます。ミニマルテクノとかに近いですよね。制作工程としては。ボーカル以外はどこまで生音か分かりませんが、全体として迫力のある音像と没入できるドラマティックな起伏があります。さすがRYMのユーザーたちが認めたアルバム。

昨年は日本から明日の叙景が話題になりましたが、今年は中国のこのバンドが発掘されたのかも。こういう出会いがあるのは面白いですね。欧米の音楽ファンのDig(掘り出し)力には毎度驚きます。震源地はどこなのかなぁ、誰かのTwitterとか、あるいはメタルメディアなのだろうか。bandcampで新しいバンドをDigっている人たちがいるのでしょうね。そういうところから火がついていく。

これがロゴらしいんだけど、どこをどう読めばὉπλίτηςなのか謎

今、「非英語圏のメタルバンド、名盤」を調べていて近日中に記事を書こうと思っています。その過程で見つけたバンド。現在進行形なので面白くて記事にしてみました。非英語圏の音楽は玉石混交なのでガチャ感があってワクワクしますね。ハズレが続くと疲れてきますが、時々出てくる大当たりが溜まりません。

それでは良いミュージックライフを。



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