週間プレイリスト 2022/7/23
新譜のリリースは世界的には金曜日です(日本市場は水曜日も多い)。毎週金曜日に「今週聞く新譜」を選んでプレイリストを作っているのですが、それをシェアしていこうかなと思い立ち、これが1回目の記事。基本的に毎週金曜or土曜に選んでいます。今週は7/22(金)リリースのものが中心ですが、「この週に僕が出会ったもの」も一部含まれます。いずれにせよ、最近リリースされた新譜から選んでいます。
ジャンルは、プロフィールにも書いている通り「ヘヴィメタルとワールドミュージック」が中心です。あとは普通のロックも少々。
まずは全部まとめたプレイリストをどうぞ。シャッフルで聴いていただくと思わぬ出会いがあるかと思います。3サービスで作ってみたので使えるものをどうぞ。Spotifyは無料でもアプリさえ落とせばシャッフル再生できます。
各アルバムの簡単な紹介。
Imperial Triumphant / Spirit of Ecstasy
モダンジャズ+デスメタル、という特異なバンドの新譜。音像的には近年のキングクリムゾンも思わせます。かなり人を選ぶ音像だと思いますが、他にない音像なのととにかく神経を研ぎ澄まして構築されていることが伝わってきます。基本的には前作の延長線上のようだが、よりジャズ色の強いパートや楽曲が入っていて振れ幅が増えている感じ、進化を感じます。
ZZ Top / Raw('THAT LITTLE OL' BAND FROM TEXAS' ORIGINAL SOUNDTRACK)
2019年にNetflixで放映されたドキュメンタリー映画「That Little OL' Band From Texas」の劇中で演奏シーンの時に録音されていたスタジオライブ盤。なので2021年に亡くなってしまったベースのダスティ・ヒルが参加しています。黄金のラインナップでの作品。ZZ TopはUSのハードロックを語る上では外せないバンド。スタジオライブなので過去の曲をリラックスして演奏しています。
Jack White / Entering Heaven Alive
USロック界の重要人物ジャックホワイト今年2枚目の新譜。レッチリも今年中にもう1枚アルバムを出すらしいし、ツアーを休んでいた分創作意欲が爆発していたのですかね。ざっと聞いた感じだと落ち着いていてすごくいい感じのアルバム。前作より個人的には好印象。
Ben Harper / Bloodline Maintenance
前作はギター1本のインストアルバムという変則的なリリースだったベンハーパー、本作は通常のアルバム。タイトルは「血縁の手入れ」ということで、自分の家族やルーツについてのテーマと思われます。以前、母親とのデュエットアルバムを出したこともあり「家族」というのが大きなテーマのアーティストなのかな。ゴスペル、ファンク、ブルースなど、アフロアメリカンミュージックが織り交じった音楽。派手ではないが小難しさはなく、落ち着いた心地よい時間を演出してくれるアルバム。
Oceans Of Slumber / Starlight And Ash
ソウルフルな黒人女性ボーカリストを擁するオルタナティブ・プログレッシブ・メタルバンド、オーシャンオブスランバー。新作は壮大でドラマティック。メタル系に強いセンチュリーメディアからのリリースなので「メタル」と冠されているが、本作はメタル色はかなり希薄。「ロック」の範疇ではある。ソウルやゴスペルを取り入れたドラマティックでダークなロック、という感じです。
Wake / Thought Form Descent
カナダのデス/ブラックメタルバンド。ウェイクの6作目。アトモスフェリックブラックみたいな感じで、全体として攻撃性よりはシューゲイズのような美しいノイズ感が強い音像です。音が溶け合っていてオーロラのよう。メロディセンスが気に入りました。
Wailin Storms / The Silver Snake Unfolds
US、ノースカロライナのバンド。「サザンドゥームパンク」と自ら名乗っています。全体としてはドゥームメタルな音像ですが、確かにサザンミュージック感も混じっている。まぁ、サイケでストーナー的です。ドゥームメタル好きなんでだいたい1枚は選んでいます。今週のドゥーム枠。
Sizzla / Rise Up
ジャマイカのベテランレゲエミュージシャン、シズラ。多作なアーティストとしても知られているようです。彼の2022年新作。1曲目が良くて気に入りました。さすがベテラン+多作(=曲が湧き出てくる天才タイプ)なだけあってどの曲もいい感じ。マイナーすぎず、かといってパーティー的なノリノリな感じでもなく、夏の気分に合う感じ。
BREIMEN / Fiction
たまたまアンテナに引っかかってきた日本のバンド。中心人物の高木祥太はTempalayでもサポートをしているようです。亀田誠二主宰の「亀田杯」優勝経験者、ということで、確かに亀田っぽい(というか東京事変っぽい)ところもあり、各種の要素がミックスされて全体として「日本にしかない音」になっているのが素敵。ミックスして、血肉にして、その先に独自性が花咲こうとしている音。今週のワールドミュージック日本代表。
Lone Tree / Refuge
ケニヤのバンド。本作がデビューEPらしいです。これが心地よい音。そこまでアフリカアフリカはしていないのだけれど(むしろアフリカ色が想像より薄目、ルックスも含めてUKのバンドと言われたら納得しちゃうかも)、やはりリズムパターンや節回しなどにアフリカンミュージック感がある。今のアフリカの若者のインディーズミュージックの空気感が感じられて面白いアルバム。いいバンドだと思います。
Gilbert O'sullivan / Driven
アイルランドの誇るシンガーソングライター、ギルバートオサリバンの新譜。これがまた素晴らしい出来。同じくピアノマンであるエルトンジョンよりはポールマッカートニーの近作に近いものを感じます。とにかく丁寧に作られていて上質なアルバム。ちょっとジャジーで丁寧に作曲された感じはドナルドフェイゲンにも近いかも(メロディ的にはポールマッカートニーだけれど)。
Sunday Driver / Sun God
UKのバンドながらものすごくインドなバンド。バンドメンバーがインド系移民なのでしょう。UKとインドは歴史的に関係が深いですからね。活動休止していたけれど復活し、10年ぶりのニューアルバムのよう。メロディは全体的にカルナティック音楽でヒンドゥースケールなのですが、演奏そのものはけっこう軽やかでUKインディーズロック感があるのが面白い。
Dawes / Misadventures of Doomscroller
LA初のロックバンド、ダウズの新譜。フジロックで来日したこともあるようですね。ちょっと引っ掛かりがあるUSロックで、ちょっとPhishっぽさも感じたり。耳に心地よいけれど引っ掛かりがある演奏、ふっと耳を惹くメロディが魅力的。Allmusicでも星4.5を獲得しておりメディア評価も上々の様子。確かにいいアルバム。
Thousand Eyes / Betrayer
今週最後のアルバムは再びメタルに戻り、日本からサウザンドアイズ。いわゆるメロディックデスメタルながら日本的様式美(コンチェルトムーンとか橘高文彦とか)を感じさせるギターメロディやコード進行があり、90年代後半~00年代にメタラーを共起させた初期インフレイムスやチルドレンオブザボドムの方向性にジャパニーズメタルのフレイバーをまぶしたような作品。プロダクションも良好。おススメ。
以上、今週は14枚が耳に引っかかりました。それでは良いミュージックライフを。
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