見出し画像

Dream Theater : Top Of The World Tour@日本武道館 2023.4.30

今週も、行ってきました武道館。メガデス、クラプトンに続いて今年3回目。こんなに来ることになるとは。大物バンドの来日ラッシュなんですね。

さて、昨年のダウンロードジャパンのヘッドライナー(→関連記事)で観て以来のドリムシ。というか海外アーティストをこんな短期間で2回観ることはなかなかないですね。2018年のジューダスプリースト単独公演→2019年のダウンロードジャパンでオジーの代役ヘッドライナー、で半年スパンで観た時ぐらいか。今回、ツアーも同じ「A View From The Top Of The World」アルバムをフューチャリングしたツアーから。演奏曲目もけっこう被ると思われます。

ただ、ダウンロードジャパンは正直きつかった。長時間フェスかつスタンディングで、ヘッドライナーにドリームシアターはやっぱり向きません。以前、ラウパでもヘッドライナーやったことがあるみたいですが同じ悲劇を何度繰り返すのだろう。

客席の埋まりは7~8割といったところ。ただ、2階席3階席の前の方をつぶしていたので客席になっているところはほぼ満員でした。

席があるところはほぼうまっている

今日は腰を据えてじっくり見るぞ! と思っていたんですが1曲目からみんなスタンディング。うーん、席があるから座って見たかったんだけどなぁ。まぁメタルだし仕方ないか…。

この日の印象を一言で言うと「ようやくドリームシアターのライブを楽しめた」というところ。

今回生で観るのが2回目、映像ではブルーレイで過去のライブ作品をいくつか見てきましたが、だいたいにおいてボーカルが弱いんですよね。映像でもそれを感じるし、前回のラウパは生で観てより一層感じました。何をやっているのかわからない。前回は歌メロがほとんど分からなかったんですよ。理由はいくつか考えられます。

・ジェームスラブリエはけっこう低音域と高音域で音量に差がある、高音はけっこう声量があるというか大声を出さないと高音がでないと思われるが、逆に地声にちかい低音~中音域は音量が小さめ、音量差が大きい

・けっこうバンドの音圧が高い、ギターはゴリゴリ、ドラムもたたきまくるスタイル、ここでボーカルが聞こえるにはけっこうな音量が必要だが、上述の通りボーカルの音量差がけっこうあるタイプなので大きい方に合わせてミックスされている、結果中音域や低音域が激しめの曲だとほとんど聞こえない

・高音がそもそもあまり出ない、ドリームシアターの歌メロの特徴として、クライマックスは高音が連続する場面が多い、そうなるとすぐに声が出なくなる(そもそも難易度が高すぎる気も)

それらを総合して、なんかステージ上にいるけれど場違い感というか、「無理やり歌わされてる感」があったんですよね。間奏部分は手持ち無沙汰だからかすぐ袖に引っ込んじゃうし、歌うところはすぐに苦しくなって声がでなくなるし。

90年代、Burrn!のインタビューでもけっこう酷評されていましたが全然改善していない。逆に言えば、ほとんど同じスタイルを貫き続けていることに驚きます。

ただ、別にジェームスラブリエは歌が下手なわけではないんですよ。ソロアルバムとかは魅力的だし、今回のライブでは特にそれを感じました。まず、ドリームシアターのあれだけ複雑な曲をほとんど間違わずに歌いこなしている時点ですごい。歌詞もプロンプターを観ていないし、全部曲を覚えている。変拍子とかめちゃくちゃ多いのに入りを間違えることがありませんでしたからね。ただ高音が一定以上出ないだけ。

最初のうちは「ああ、今回も苦しそうだな」と思っていたんですが、今回は調子が良かったのか、あるいは単独公演だから気合が違ったのか、きちんと歌メロが伝わってきました。音響もあるのかも。

やっぱりドリームシアターと言えばジェームスラブリエの声ではあるんですよね。ライブであれらの曲を完全再現するのが無理なだけで。ほかの4人が超人的なので余計差が目立つ。

あと、最近の曲はけっこう低音~中音域が増えているのも改めてライブを観て感じました。高音の連続、みたいなパートは減っている。一般的なメタルバンドのフロントマンよりはやはり控えめだけれど、今回は確かな存在感がありました。

ドリームシアターってけっこう曲が歌メロ中心に組まれていますよね。インスト部分も聴きどころなのだけれど、曲としては歌のメロディも強い。テクニカルデスとかDjentとか、古くはギターインスト(シュラプネル系とかVaiとか)はすごいテクニカルな人が多いですが、こういうボーカルを中心に据えたテクニカルなバンドってやはりドリームシアターが孤高な気がする。クイーンズライクとかフェイツウォーニングとかはボーカル主体だけれどここまで演奏の比重が大きくないし、ドリームシアター以降はボーカルがデスボイスになった(つまり、歌メロの比重は減った)。ボーカルも「超絶技巧を求められる楽器の一つ」として扱われているバンドってあまり他にないんですよね。ジャンルは違うけれど、Bjorkみたいなかなり難易度の高い歌メロを歌っている。ジェームスラブリエのボーカルが弱いとかいろいろいうけれど、じゃあ誰だったら完璧にこれらの曲を歌えるかと言えば、、、メタル界にはほとんど思い当たらない。若い頃のジェフテイトならもしかしたら行けるかもだけれど、間奏が長すぎて怒りそうだし。微妙な音程のコントロールが必要なところもあって、パワータイプなだけでもダメなんですよね。

なんとなく物足りなさというか、初見の「コレジャナイ感」があるとしても、ジェームスラブリエ以外にドリームシアターのボーカリストはいないんだなぁと感じる2時間でした。まぁ、考えてみたら筋肉少女帯の大槻ケンヂみたいな、「うまいわけじゃないけどその人じゃないと成り立たないボーカリスト」だと思えばいいじゃないですか。僕オーケン大好きだし。

そんな悟りの境地に達した単独ライブ。いろいろ思ったことを率直に書き残しましたが、ライブ全体としてはとても楽しめました。2時間だったけれどけっこうあっという間に過ぎた印象。10分超の長尺曲を(ボーカルにハラハラしながらも)スムーズに聞かせきる力はすごい。

今回のセトリ。

1.The Alien(A View from the Top of the World)
2.6:00(Awake)
3.Sleeping Giant(A View from the Top of the World)
4.Bridges in the Sky(A Dramatic Turn of Events)
5.Caught in a Web(Awake)
6.Answering the Call(A View from the Top of the World)
7.Solitary Shell(Six Degrees of Inner Turbulence)
8.About to Crash (Reprise)(Six Degrees of Inner Turbulence)
9.Losing Time/Grand Finale(Six Degrees of Inner Turbulence)
10.Pull Me Under(Images And Words)
11.A View From the Top of the World(A View from the Top of the World)

Encore:
12.The Count of Tuscany(Black Clouds & Silver Linings)

12曲中「A View from the Top of the World(2022)」から4曲、「A Dramatic Turn of Events(2011)」から1曲、「Black Clouds & Silver Linings(2009)」から1曲、「Six Degrees of Inner Turbulence(2002)」から3曲、「Awake(1993)」から2曲、「Images And Words(1992)」から1曲。マイク・マンジーニ加入後(2011以降)よりマイク・ポートノイ時代の曲の方が多かったですね。7,8,9は組曲。このアルバムあまり聴き込んでいなかったんですが、改めて「Solitary Shell」を聞くとピーターガブリエルの「Solsbury Hill」のオマージュですね。出だしとヴァースだけでコーラスになると違いますが。この組曲は「過去のプログレッシブロック」へのオマージュなのかもしれない。アコギと変拍子の感じが一緒です。

締めは大曲「The Count of Tuscany」。この曲って中間部にかなり長いアンビエントなパートがありますよね。ギターとキーボードだけになる。こういう曲を聞かせきる力はやっぱり凄い。

いろいろ書きましたが、なんだかんだドリームシアターが好きなんですね。好きだからいろいろ書きたくなるというか。そういえばプログレって好きになるといろいろ言いたくなるジャンルかもしれない。面倒なカルマを引きずり出すジャンル。単純に「キングクリムゾンが推し!」「ドリームシアター最高!」みたいな人って少なくないですか? プログレって好きになるとブツブツ言いたくなる、いうことで愛情表現したくなる文化を持ったジャンルなのかも。

ジェームスラブリエへの違和感と諦めを超え、彼も含めたドリームシアターへの敬意と愛着に気づいた今回のライブ。気が付くと大団円。みんなよくあれだけ複雑な曲に乗ってたなぁ。武道館なのにマニアックな一体感。

大団円
帰路へ
物販、個人的に刺さるデザインやグッズはなし
湯呑(メガデス)とか徳利(KISS)みたいな日本ならではのアイテムが欲しかった
Tシャツ(5500円)より安かった(4950円)のでレコードゲット

今日はだいぶ徒然と書きました。それでは良いミュージックライフを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?