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2021年1月のベストトラックス

1月のベストトラックスを振り返ってみます。アルバム単位ではなく「トラック」。曲単位のベストです。1月は18曲。メタル系が多めで14曲。かなりゴリゴリです。日本語の歌が1曲。ワールドミュージック1曲。ポップス1曲、前衛1曲。昨年末にレビューを書いたものが多いので年末のベスト向けにいろいろ聴いていた時期だったので(だいたいこのアルバムレビューは1か月ぐらいタイムラグがあります)、ベストに選んだものも多いですね。ちょっとジャンルがメタルに偏っています。

各曲の解説とアルバムレビューへのリンクです。

6.Standstill
ミドルテンポ、北欧的なメロディ
4曲目以降、急にメロディが良くなった
マイナーに落ち切らず、そこまでどマイナーではないが北欧的な哀切を感じる
途中からクリーントーンへ、クリーントーンのボーカル部分はこの曲が今までで一番魅力的
寒さ、吹雪、吹き付ける雪を感じるようなギターリフ
ギターソロからそのままギターがメロディを奏でながらヴァースへ
冷たいのだけれどどこか人懐っこさもある
ただ、これスウェーデンのバンドだったかな、フィンランドほどの人懐っこさがない気がする
★★★★☆

4.Atomic Age
まさかのアカペラコーラス、クリスマスソングのようなスタート
さまざまな音楽要素をごった煮でぶっこんでそれを勢いでまとめてしまったようなカオスさ
Igorrrにも近いものを感じたが、あちらは機械でやる「人力を超えた快楽」に対してこちらは演奏でやっているダイナミズムがある
自由にたたきまくったドラム、ただ、他の楽器もドラムのひと段落に合わせて息をひそめる
ささやくようなボーカル、音のシーン、音で作るドラマの煽情性が高い
演劇的というか、「音」というものへの感受性が高い
メロディやリズムの法則性はあまりなく、自在に変化していくようだがどうやって作曲しているのだろう
パートや流れを決めて、モチーフやキメのタイミングを決めながら後は即興なのだろうか
あるいはザッパのようにジャムセッション(ザッパの場合はライブもだが)を録音し、編集しているのだろうか
途中でまた違うパート、左右で小人が言い争うような
そこから激烈なドラム、嵐、巻き込まれて小人たちが叫ぶ
大渦、戦争だろうか
音だけのドラマだが展開がすごい
Atomic Ageとあるから核戦争だろうか、あるいは原発事故か
渦を巻く、巻き込まれる、非難の声、怒号
急に視界が開ける、死んで天国に行ったのか、滅亡か
ベタな日本のコンテンツ風景で言えばエヴァンゲリオンの補完、あるいはデビルマン(マンガ版)のラストシーンのような
滅びの後の静謐さ、クワイア
そこからまた激烈なドラムが戻ってくる
残響音を残して音が減る
ブザー、アラームのような音、メインボーカル、怒号
ヘヴィなハードコアパートへ、音をたたきつける
少しづつベース、ドラムのリズムがずれていく、この辺りは(キング)クリムゾンぽさがある
ひきずるようなヘヴィなパート
そこからマーチングバンドのようなドラムだけが残り、フェードアウトしていく
ノイズ、だれもいなくなったラジオのような
★★★★★

6.The Husk 4:57
勢いの良い始まり、乗りやすい
次々と勢いよくボーカルが飛び出してくる、リフもカッコいい
美しいメロディ、これだよこれ、VAI的
スリリング、テクニカルだがメロディがいい
途中からの抒情パートも美しい、アルペジオとギターソロ
こういうメロディが弾けるんだからもっと出せばいいのに
ドラムの超絶連打、リフ、ソロのクライマックスが絡み合う
★★★★☆

5.Spuming Catarrhal Gruel 5:44
シームレスに次の曲へ、ややアップテンポ、同じ曲の中で場面が変わったのかと思った
金属音、金切り音が多めのリフ
グロール、風の音のようにも聞こえる、人の声はやはり耳を惹く
メインはギターリフで、バッキングとしてボーカルが機能している
疾走パート、トレモロリフ、北欧のような冷たさは感じない、どちらかといえばアーシーで温かい音像
熱を帯びていく
テンションが上がっていく
間奏の後リフ、メロディアスな展開、この曲は盛り上がり度が高い
ブラックメタル的な音像も入ってくる、カオス一歩手前の激烈
★★★★☆

2.Hiding From The World 9:24
1曲目8分からの2曲目9分半か、大曲で押してくる
メロウなスタート、泣きのギターメロディ
だんだんとヘヴィさが増してきてギターの刻みが入ってくる
このバンドを初めて知ったがかなりクオリティが高い
歌メロはコンセプションにも近い印象を受けるが、メロディの作りこみとプロダクションが一段上
各楽器やボーカルのパフォーマンスは一概に比較できないが(ロイ・カーンほどの独特の節回しはない)
ところどころ出てくるハイトーンなどがキングダイアモンド的だなぁ、雄々しいキング、好みのパターン
泣きのツインリード、からのオペラティックなボーカルパートへ
メロディが良い、ちょっとGhost的でもある、もしかして北欧なのだろうか
いずれにせよヨーロッパな感じはするが、、、どうなのだろう
ところどころハッとするメロディが入ってくる
やはり、ボーカルはジェフテイトというよりキングダイアモンドだな
★★★★★

6.Battle High 4:03
ミドルテンポ、リフが入ってくる
ブルージーなギターソロ、からボーカルが入る
ヘヴィブルース的な曲、かと思いきやテンポチェンジして手数が増える
暗黒的な雰囲気を少し出しつつコード展開はキレイな和音
心地よいメロディ、適度に哀愁があるが明るさがある
★★★★☆

4 The Devil Embraced 6:08
物語を感じるスタート、時計だろうか、時間の流れか
低音のボーカルが入ってくる、低音域も魅力的な声をしている
スクリームへ、異形のものを感じさせる
鳴り響くギターリフ、メロディアスなブリッジ、New Orderとかに近い、ちょっとニューウェーブ的なメロディセンスがある
ヘヴィなリフにオルガンの音が絡み合う
荘厳な建物、洞窟の中で塔がせりあがっていくような、鍾乳洞を早送りで見るような
音が積み重なってイメージを作る
★★★★☆

10.Am I Talking To The Champagne (Or Talking To You) 5:47
歩く速度、ウォーキングベース、歌が絡み合う
やや裏ぶれたメロディ、ダンディズムがある
ミューズあたりにも近いか
サックスソロが入ってくる
軽くファンク
★★★★☆

7.The Valley 8:58
かすかな和音、響いてくるドラム
かすれた音で弦楽器が入ってくる、バイオリン、フィドルだろうか
くたびれた、疲れた、何かの後のような、帰路
つぶやくような歌、慰撫するような
中世音楽、欧州ルーツミュージックを感じさせるメロディ
静かで哀切な情感、情景
レクイエムほど暗黒、慟哭ではないが郷愁よりは強い、何かしらの喪失感
長尺の曲なので展開がゆるやかながら感情が落ち着き、盛り上がり、緩急が付く
ふたたびクリーントーンとスクリームのコーラス
前面と背面、多重人格のような、顔で笑って心で泣いて、というか
感情を揺さぶるドラマ
★★★★★

3-3 Heliozoapolis : Les Criosphinx Sacrés D’Amon​-​Rê, Protecteurs Du Cogito Ergo Sum Animal 15:24
また長尺の曲、曲というか「場面」というか
調和をさぐるような和音、調律、人の声も入ってくる
瞑想的なシタールだろうか、弦楽器の音が入ってくる
アジア、インド辺りの音楽の影響を感じる
人の声もあまり音階移動はないが節回し、発声法が少しインドっぽい
聞いていると酩酊感がある、この3枚目が一番ドゥームメタル感があるか
あるいは耳が慣れてきて、「まぁドゥームメタルの質感だけを抽出したらこうなるよな」と気付いたのか
歌い方が盛り上がってきた
低い声、場面が展開していくが展開が緩やかで、ひたすら集中して聴くというよりゆったり身をゆだねる音楽
この曲はとろみというか、コクが強い、聞いていると意識がとろとろしてくる
エレクトリックウィザードのDopethroneとか、Sleepのエルサレムとか、あのあたりと共通する(より極端にした)ものを感じる
★★★★☆

1.The Curse Unbound 6:36
太いベース音、全楽器の音がいきなり飛び出してくる
ミドルテンポ、硬派な音作り
フロンティアレーベルとのことだが果たしてフロンティアらしさは出てくるのか
そこから猛烈な疾走、小刻みでメロディアスなリフ
ここまで疾走するとは予想外
メロスピ的なハイトーンボーカル、ただ、メロディはけっこう引っ掛かりがある
歌メロはややブラガを彷彿させる、高音の歌いまわしだろうか
バッキングのパターンがメロデス的
ブリッジからコーラスへ、展開が凝っている、この辺りの展開は曲自体がブラガ的
ただ、疾走感はかなり高い、やや一本調子になるリスクもあるがやけくそな勢いを感じる
疾走曲は勢いが大切、勢いがあるからスリルが出る
そうか、フロンティアらしい分厚いコーラスも出てくるが、ブラガ方向にコーラスを振るとは
ちょっと高音で透明感があるのはプロダクションか
間奏で雰囲気が変わる、郷愁を誘うようなメロディ、この音作りはちょっとチープだが味わい深い
からのギターソロ、ギターソロも練られている
勢いを保ったまま終曲、6分半という長さを感じさせない勢い
★★★★☆

6 The Red Baron 3:22
クラシカルなメロディから、クラシックの曲のモチーフ
なんだっけこれ、バッハだろうか
からアップテンポのナンバーへ、このテンポはアルバムで初めて
高速シャッフルリズムというか、ノリが良い
カッコいい
軽やかでテンションが上がる
★★★★★

2 Jörmungrund 3:35
風か、風雨、波の音
男声の声、掛け声、そのリズムにのって女声が入ってくる
船漕ぎ歌か、めぐるようなメロディ、ポリフォニー
声が絡み合い枝を伸ばす、木の幹が伸びていく、生命力を感じる
海、船は波を超えて進む、それは海なのか時の流れか
喉笛的な、倍音の声が出てくる、ホーメイの低音版というか、これは良い声
ポリフォニー、さまざまな声が絡み合う、自然界の縮図だろうか
美しいメロディの楽器の音も入ってくる
呪術的な響き、だんだんと声が大きくなってくる
テンポ、言葉数はそれほど多くないが豊饒
★★★★★

4.Under The Table 3:21
アカペラで上から降りてきて上っていく、一巡するメロディ
和音のドローン音が入り、別メロディを歌う、リズムが入ってくる
民謡というかマザーグースのような、子供の唱歌のようなメロディ
そこから自由に舞い踊るメロディに、ブルージーと言えばブルージーか
ルーツ・ミュージックの影響下にあり、音作りやコード進行はルーツを感じるがかなり飛び回っている
音が出たり入ったり、喜怒哀楽も入れ替わるようだ
最初のアカペラのメロディ、下がってきて上昇していく、が出てくる
なんどかそのメロディが回る、ポリフォニーの後、落ち着きを取り戻して別の歌メロへ
先ほどのメロディも戻ってきて絡み合う、なるほど、こういう構造か
★★★★★

5 The Winter Of Our Passing 3:17
マイナー調から展開するコード、ややノイズが走る、転移するような、SF的な
リズムは早め、どんどん展開していく、ボーカルが入る、低音で
夜、暗い場所、深夜の高速道路をバイクで走るような
左右をライトが流れていく、メロディが流れていく、哀愁がある
ところどころに効果的に変拍子が入ってくる、ベースやコードが揺らいで曲のシーンが変わる
ボーカルメロディも展開する、疾走感が出てくる
一度停止してまた走り出す、都会的な洗練された音だが寒々しい、吹雪のような冷たさと清浄さ
★★★★★

7.Sheer Khan
やる気のあるリフ、かっこいい
お、高速エイトビートじゃない、ミドルテンポのツーバス、80年代のプリーストっぽいぞ
ボーカルも(比較的)重厚な声で歌っている、正統派
ネタ感、大味な感じがない
お、ロブハルフォード(の物まね)的ハイトーンも出てくる、でもこの曲は笑い要素は少ない
ディフェンダーズオブフェイスや復讐の叫びの頃のJPテイスト
比べてばかりいるが特定の何かの曲に似ているというわけではないし、プロダクションは今風
ドラムサウンドもやはりスラッシュ、デス、ブラックを通過したうえでの音作りだし、疾走感は増している
これはNWOTHM(ニューウェーブオブトラディショナルヘヴィメタル)の名曲
いや、70年代JP的か、ステンドグラスとか
なんか、ちょっと音が薄いんだよな、生々しいというか
けっこう硬派な音作り、ツインギターだろうが、ソロを弾いたらバッキングが薄くなる、とか
無暗と音を重ねていない
途中から展開してミドルテンポで耽美的に、おお、運命の翼(JPの2nd)的な曲構成ではないか
好物
★★★★★

8 Absurd Hero 3:05
前曲から続く、メロディアス
リフがしっかりある、メロディをギターが奏でる
この曲は北欧的な響きがある、メロデス的、吹きすさぶ荒涼感
激烈感は凄いが哀愁がある、前が見えない吹雪
ストップアンドゴー、細切れにリズムが停止するが全体としては流れていく
ものすごくかっちりしてるから北欧ではないだろうな
しかしテクデスでメロディの奔流を感じるとは
哀愁、泣きメロではないがこの曲は寒々しい感じはする
★★★★☆

5.counter culture
お、このイントロはいい、この流れで聴くと上がる
こちらも先行配信曲、単曲で聴いたらサラッと流れてしまったのだが
この曲はいいな、小室サウンドを引き継いだ感じがする
小室提供曲は正直期待外れ(これは大森靖子のせいというよりTKの作曲能力の枯渇を感じた)だったが、この曲はなんというかテイストを受け継いでいる、アンサーソング的な
なぜそう感じるのだろう、ちょっとクラシカルなキーボードだから?
前からこの要素あったけれどなぁ
ああ、ブリッジのメロディか、コードが転調感を出す感じがTKっぽい
メロディそのものは大森靖子印
こちらの方が完成度が高い
けっこうバッキングが遊んでるな、ベースもうねっている
これ、ツアーメンバーじゃなさそうだな、こんなに上手かったっけ
もしシン・ガイアズの人ならごめんなさい、下手という印象はないがここまで手数が多い印象があまりない
いい曲
★★★★☆

それでは良いミュージックライフを。

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