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Jeb Loy Nichols and Cold Diamond & Mink / Jeb Loy

US生まれで現在はUKで活動しているSSW、ジェブ・ロイ・ニコルズが北欧フィンランドのモダンソウル名レーベルTIMMIONのスタジオバンドCOLD DIAMOND & MINKとコラボレーションしてリリースした2021年作のアルバム。1曲目のイントロを聞いて「おっ、いいな」と思ったので聞いてみます。良盤の予感。

出身国:UK(ウェールズ)
ジャンル:soul, country, folk, reggae and blues
活動年:1997-現在

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YouTube(Full Album List)

1.The World Loves A Fool 03:02 ★★★★☆

少したどたどしいような、リラックスしたグルーブを奏でるドラム、入ってくる抑えたトーンの管楽器。ボーカルが入ってくる。メロウで心地よい。メロディが秀逸です。UKソウルと北欧ソウルのコラボと言われるとそういう雰囲気。フレッシュさと老成が同居する不思議な音像。音の絡み合いが涼し気で心地よい。

2.We Gotta Work On It 03:40 ★★★★

アコースティックな音像、US出身(生まれはワイオミング)ではあるがUKで活動中だけあって、カントリーとは違う音像。メロディそのものはUS的な部分もあるが、やはりNick DrakeやCat StevensといったUKのSSW的なメロディセンスを感じる。後、バックバンドの演奏がGood。音が適度に脱力していて心地よい。

3.I Just Can't Stop 03:29 ★★★★☆

これまた心地よいイントロ。声が透き通っている。フリーソウルシリーズ、サバービアあたりで取り上げられそうなサウンド。メロディセンスがかなり良い。けっこうベテランなのだけれど、声にみずみずしさとキャリア相応の老成が同居していて面白い。

4.My Love 04:10 ★★★★☆

コーラスが良い。聞いていて幸福な気持ちになれるアルバムですね。作り込まれたポップスというより、レイドバックした身内のパーティのような。しっかりとした実力を持ったミュージシャンの奏でる音、職人芸。思わず左右に揺れてしまうようなポップス。

5.Like A Rainy Day 04:39 ★★★★☆

ハーモニカからスタート。こういうサックスがじっくり立ち上がってくる感じは好み、JAGATARAの都市生活者の夜を思い出す。ぜんぜんファンクではないのだけれど。今の日本だとCEROとか。ああいうちょっと心細い、頼りない感じの管楽器の立ち上がり。静かに吹く。ソウルフル。コーラスと管楽器とボーカルがだんだんと重なり合い、絡み合ってじわじわ盛り上がっていきます。親密な空気感に。

6.Help Me Along 03:40 ★★★★★

夜というか、メロウな空気感が続きます。スロウで控えめの演奏に甘めの歌声。さらりとした哀愁、エリッククラプトンも思い浮かべる歌メロ(ギターソロはありませんが)。いい曲。

7.Not There Yet 03:30 ★★★★

少し明るい雰囲気に、これはソウル。オールドスタイルなソウルだけれど、メロディがナチュラルですっと入ってくる。また演奏がいい。音に包容力があります。

8.Living It Up 04:19 ★★★★☆

アルペジオの反復、少しリズムとせめぎ合う。その後でゆったりと管楽器が吹きあがってくる。トランペットかな。ちょっとロジャーウォーターズ的な歌メロ。

9.Cry Me Another One 03:38 ★★★★

歌メロもいいし、バックバンドの演奏もいい。複雑に聞こえないが、それぞれのプレイヤーの音が心地よく揺れていて複雑なグルーヴを生み出している。アルバム中盤以降、落ち着いた雰囲気の曲が続きますがリラックスして聞けます。退屈とは違う、心地よく聞けるメロディと演奏。そこまでメロディなどが似ているわけではないのですが、この落ち着く雰囲気はピンクフロイド停止後のデイヴィッドギルモアのソロ作(On An Island、Rattle That Lock)にも近いものがありますね。

10.Can't Cheat The Dance 03:28 ★★★☆

ややアップテンポながらどこかナイト、アダルトで落ち着いたムード。ナイトパーティー。ミラーボールがゆったりと回る。

総合評価 ★★★★☆

適度に肩の力が抜けていて、歌メロもふっと心に灯る、ひっそりと愛聴したい作品。目新しさや挑戦というより、UKのSSWの流れ、そして北欧のスッキリした音作りがミックスされた心地よい音楽。ポップに振り切っておらず、適度な渋さや職人芸も味わえる良盤。最近あまりUKのSSWを聞いていなかったなぁ。いいアーティストに出会えました。

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