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Buckcherry / Hellbound

Buckcherry(バックチェリー)はUSのハードロックンロールバンドです。1995年デビューで本作が9作目。ベテランの域に達してきました。メンバー交代は激しく、残っているオリジナルメンバーはボーカリストのJosh Todd(ジョシュトッド)のみ。今回のアルバムのプロデューサーは以前にバンドの4枚目のアルバム『ブラック・バタフライ』をプロデュースし、最大のヒット曲の1つである「ソーリー」を共作したマーティ・フレデリクセン。Aerosmithにも楽曲提供しているプロデューサーで、全10曲中5曲共作しています。AerosmithなどのアメリカンHRバンドとの関連性が指摘されるバンドですが、ジョシュのインタビューによるとサイプレス・ヒルB-Real(ラッパー)や、パンクバンドのMinor ThreatToy DollBlack FlagSubhumansなどにインスパイアされているそうです。本作のために28曲作り、そこから10曲に絞ったとのこと。

活動国:US(Anaheim, California)
ジャンル:Hard Rock
リリース:2021年6月25日
活動期間:1995–2002、2005–現在
メンバー:
 Josh Todd – lead vocals (1995–2002, 2005–present)
 Stevie D. – rhythm guitar, backing vocals (2005–present)
 Kelly LeMieux – bass (2013–present)
 Francis Ruiz – drums (2019–present)
 Billy Rowe – lead guitar, backing vocals (2020–present)

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総合評価 ★★★☆

いつもと変わらないBuckcherry、楽曲の粒はそろっている。このバンドの特長は「○○っぽさ」をいたるところに感じながらも、音作りやメロディラインの作り方が上手くて、聴いていて「楽しい、心地いい」というところ。ただ、後半やや失速気味で、フックがある曲が少ない。決して悪くないが過去作や類似バンドに比べても突出したものが少ないけれど、2021年現在こういう音を鳴らしているバンドは希少。ライブには行きたい。

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1 54321 ★★★★

飛行機と通信するようなSE、離陸。カウントの声からアリーナロックがなだれ込んでくる。「Hey Hey Hey Hey!」いかにも80年代。やはりこの声は魅力的。ややしゃがれ声、AerosmithのスティーブンタイラーというよりはHanoi Rocksのマイケルモンローを思い浮かべる。いわゆるバッドボーイロックンロール。ストレートなハードロックンロール、ドラムの音が乾いている。短めのギターソロはあるものの全体的には確かにパンク的なシンプルさがあるかも。

2 So Hott ★★★★

ギターリフ、ややイミグラントソング(移民の歌)的、Zepp的。音作りがカラッとしているのでそれほど共通項は感じないが。音の隙間がけっこう多い。ギターリフで空間を埋め過ぎず、それぞれの楽器が分離していて聞きやすい。ブリッジはキャッチー。歌詞は「おまえはとてもホットだぜ!」というシンプルなもの。途中からリフがDeep PurpleのSpace Truckin’(的なもの)にチェンジする。

3 Hellbound ★★★★☆

マイケルフレデリクセン参加曲。AC/DC感がある。ただ、彼らの特徴はキャッチーでポップな歌メロ。バックの演奏やリフは「○○らしさ」があるが、音作りとボーカルラインは特徴的。声はAC/DCほど金属的ではないしね。以前、AC/DCの前座も務めたことがある。「We tore the place up, but we didn't tear it down」"俺たちはその場所を引き裂く、けれど壊しはしない”「Everybody got a cut and there was more to go around」"誰もが切り裂いて、それは周りにもっとある”。けっこうスラング的な言い回しですね、直訳しても良く分かりませんがノリが良くて耳に残ります。

4 Gun ★★★☆

こんどはエアロ感があるリズム、スティーブンタイラー感があるけれどこの曲はサイプレスヒルのB-Realをイメージしたそう。確かに言葉回しはラップっぽいかも。コーラスが呪術的な響きがある。

5 No More Lies ★★★★☆

こちらもマイケルフレデリクセン参加。ややレゲエ調。そこまでルーズではないがスロウなリズム。さすが歌メロにフックがある。歌詞は「俺はいつも誠実に向き合っていたのにあんたは俺の目を見ないよな(なんかあるんだろ)、もう嘘をつかないでくれ」的な歌。恋人への歌ともとれるし人間関係全般の歌とも取れます。ちょっと途中、ガンズのアクセル的な「~~マイヤイ」という節回しがある、「ユークッドビーマイヤイ」のマイヤイ的なフレーズね。

6 Here I Come ★★★☆

マイケルフレデリクセン参加。ストレートなハードロック。ベースが安定している。歌詞がいかにも「messin' with a gun」とか。「messin'」とか「around」とか「gun」とかAerosmithもよく使うイメージ。リズムに乗りやすいのだろう。

7 Junk ★★★

探るようなリフとリズム。AerosmithのWalk This Way的な。グルーヴで押し切る曲。

8 Wasting No More Time ★★★☆

フレデリクセン参加曲。フレデリクセン参加曲だけApple Musicで歌詞とクレジットが出るようだ。バラード、スロウブルースの構成にフックのあるメロディ。アコギの音も入ってくる。コーラスはややカントリー的。AerosmithのPumpやGet a gripのアルバムのころに空気感が近い。90年代USハードロックバラード。「俺のすべての夢と希望はあらゆる扉を開ける、だからもう無駄にできる時間は無い」。応援歌か。

9 The Way ★★★☆

歌詞がある曲と無い曲があるな。これはフレデリクセンは参加していないが歌詞あり。あまり歌詞に意味がない曲は登録していないということか。プロの作曲家が入っていないので素朴なバラード、ピアノとアコギの音が入っている。モトリーのHome Sweet Home的な感じもする。エンディングに流れそうな曲。エアロのミスアシング的なフェイク気味の歌い方が後半入ってくるが、もうちょっと盛り上がってほしかった。

10 Barricade ★★★★

ミドルテンポ、やや雰囲気が違う。隙間が多いが音に迫力がある。シリアスな音像。歌詞表記がないので細かく分からないがバリケード? 分断についての歌だろうか。音からパーティソングやラブソングではなくシリアスなメッセージを感じる。

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