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連載:メタル史 1982年⑨Tank / Filth Hounds of Hades

Tankはジャケットが印象的。本作も迫力とかわいげがある三つ首の犬がジャケットです。タイトルを直訳すると「冥王(ハデス)の穢れた猟犬」。地獄の番犬ケルベロスのことですね。

東洋に伝わったケルベロス

Tankはベース兼ボーカルのアルジー・ワードによって結成されました。アルジーはもともとオーストラリアのパンクバンド、Tha Saintsの一員としてデビューし、その後UKのパンクバンド、The Damnedに参加、「ハードコアのプロトタイプ」とも称されるMachine Gun Etiquette (1979)に参加した後脱退し、結成したのがこのバンドです。もともとパンクの流れの人。

本作はMotörheadのギタリスト、エディー・クラークがプロデュースしており、メタルとパンクを融合した音楽性からも人脈からも「Motörheadの弟分」というイメージでデビューしました。Motörheadの妹分がGirlschoolで弟分がTank。豪華な兄弟ですね。じゃあ父親は誰なんだろう?

Tankはそんな話題性もあってか日本でも一定の知名度があり、日本盤もリリースされています。日本盤の帯タタキは「激烈リフ軍団」。

来日公演も2回行っています。ただ、意外と初来日は遅く1999年に日比谷野外音楽堂にて開かれたフェス「N.W.O.B.H.M.20周年ライブ」にて。リアルタイムより、振り返ってみて「N.W.O.B.H.M.の記憶と結びついたバンド」となったのでしょう。

1982年のタンク

最初の2枚のアルバムはMotörheadと同じ3人のトリオ編成でしたがその後ツインギター体制に。現在はツインギター+専任ボーカル+ベース+ドラムの5人編成となり、アルジーワードは去ったものの(2010年代は二つに分裂しており、ワードは2023年没)活動を続けています。N.W.O.B.H.M.の記憶、時代の空気と濃厚に結びついたアルバム。

※はじめて当連載に来ていただいた方は序文からどうぞ。

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