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Katatonia ‎/ City Burials

2020 ベストアルバム10(愛聴盤)でも選んだアルバム。いわゆるゴシックと言われるバンドですが、カタロニアのメロディや音像は個人的嗜好にハマります。適度にエッジがあり、抑揚が効いているんですよね。音響的にもドラムの音とか、一つ一つの音がフレッシュな感じがします。

Katatonia(カタトニア)は1991年結成のストックホルムのバンドです。中心人物はジョナス・レンクス(ボーカル、ドラム)とアンダース・ナイストローム(ギター、ベース、キーボード)の2名。この2名ですべての楽器を録音しツアーメンバーを集めてスタートしたバンドでしたが、2016年以降は同じメンバーで活動を続けています。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2020リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1 Heart Set To Divide 5:29
霞のような音像、声が入ってくる、深い声
切々と歌っていたかと思ったらハーモニーが入る、空間が広がる、深海のような
水中のようなバック、和音が塊で鳴る中にボーカルが浮かぶ
ギターが入ってくる、水中に沈んできた鉄の塊のように
ドラムが入ってくる、機械、宮殿か、急に曲が姿を現す
勇壮な突進力がある、エッジの効いたギター音とリフ
ドラムがやや変拍子的なリズムを叩き、再び空間音、水中を漂うようなキーボードが空間を埋める
ベースがところどころ急に深く潜る、ボーカルが展開していく
美麗で流れるようなメロディ、ドマイナーでもないが哀愁がある、大げささはないがドラマティック
ドラムの手数も増えてくるがそこまで超絶技巧、変拍子というわけでもない、きっちり曲の展開に合わせている
キーボードが鳴り響く、あまりギターは存在感はない、シューゲイザー的な、キーボードと混じって音空間を照らしている
★★★★☆

2 Behind The Blood 4:37
ギターの刻みリフから、メロディアスなフレーズが乗る
ディストーションは聴いているがエッジは丸め、少し霞がかったというか
刻みのリフ、パワーメタル的なスタート、やや勢いもよく派手さがある
ボーカルが入ってくると少し沈み込む、重心が下がる
グランジ、オルタナを通過した歌声、メロディ
とはいえコード進行は流麗でメロディも自然に展開していく、北欧的というか、不協和音や無理やりなコード展開感は感じない
朗々とした歌だがどこか影がある、丸みがある、Opethもこんな雰囲気がある
どちらかと言えば耽美で静謐な歌声、それに派手めのギターリフとバッキングが乗る、面白い
冷たい情熱というか
間奏で雰囲気が変わる、潜るような、音の塊、アンビエント的なバッキングに
ややずらしたようなコード進行、朗々とした歌いまわしに
リフがうねって終曲
★★★★

3 Lacquer 4:42
ソナーのような、探るようなシンセフレーズが反復する
声が入ってくる、スティーブンウィルソン的なダークプログレな音像
音はクリア、あまりディストーションや激しい音はまだ入っていない、透き通っている
ノイズ成分が入ってくる、電磁波のパルスのような、ジリジリとした音、放電している
浮遊するような音像、その中にチリチリとノイズが舞い、その中をボーカルが泳ぐ
祈りのような、見上げるような、どこか遠くに届けようとする歌声
この曲はエレクトリックな音作り、生音感はあまりない
ボーカルが主軸に置かれている
変容していく、リズムの低音が強調される、アクセントが強い
音が去る
★★★☆

4 Rein 4:20
どこか遠くに行くようなリフ、絡み合う和音、ハーモニーが入る
コード進行が少しずれている、不協和音までいかないがところどころズレる
ドラムが連打される、アグレッションは強めの音像、ギターも入ってくる
ただ、バンドの音は塊感が多い、塊で打ち鳴らされる、全体でうねる
ハーモニー、移動する和音、ボーカルハーモニーも厚い、どこか遠くに残響するような
ところどころきしむような、ノイズのような音があり空間効果を出している、何かの生き物が空間を泳いでいるような
この辺りはDeftonesにも感じた音処理方法かもしれない
ドラムが打ち鳴らされる、疾走が始まる、バッキングのギターは幽玄な響き、シューゲイザーに接近したブラックメタル的
★★★★

5 The Winter Of Our Passing 3:17
マイナー調から展開するコード、ややノイズが走る、転移するような、SF的な
リズムは早め、どんどん展開していく、ボーカルが入る、低音で
夜、暗い場所、深夜の高速道路をバイクで走るような
左右をライトが流れていく、メロディが流れていく、哀愁がある
ところどころに効果的に変拍子が入ってくる、ベースやコードが揺らいで曲のシーンが変わる
ボーカルメロディも展開する、疾走感が出てくる
一度停止してまた走り出す、都会的な洗練された音だが寒々しい、吹雪のような冷たさと清浄さ
★★★★★

6 Vanishers 4:56
落ち着いたリズム、機械仕掛けの呼吸音のような、機械の声だろうか
機械的、近未来的な音が差し込まれるのが音風景にSF的な響きを与えている
キーボード、シンセのコード、和音が空間に漂う
ドラムとベースがゆっくりとリズムを進めていく
ボーカルはコーラスエフェクトの効いた、高音が協調された明るい音、光のような
女声コーラスも天上から降ってくる、包み込まれるような、慈悲のようなメロディ
眠りだろうか、安堵だろうか、どこかにたどり着いたのか
メインボーカルも穏やかにメロディを歌う、メロディは上下に揺れ、探るように展開する
小節を超えてメロディがつながり、流れていく
転調しながらメロディが続く、ニューコア的な音像か
コード進行、メロディ進行が好み
★★★★

7 City Glaciers 5:30
ややブルージーというか、カントリー調のスタート
弦がたわんだ楽器の音、シタール的な、バンジョーか
始まりは広々と大陸的だったがボーカルが入ってくると森の感覚、雪と氷の感覚が出てくる
ピアノが響く、ドラムと共にメロディが展開する、オーロラのような、氷壁のような
なめらかに音の塊が移動していく、揺れる
Soenあたりにも近い、空間的
小節をまたいでメロディが揺れる、変拍子、ただ、構造は保たれている
音、リズムの隙間が増えて、どこか浮遊感がある
ジャズ、パットメセニーのような丸みを帯びた音色でツインリード、美しい音色
バッキングはギターのアルペジオ、北欧のルーツミュージック、バイキング的なフレーズに
ボーカルは流れるようなメロディ、高音部が強調された明るい声色のコーラスがハーモニーを奏でる
★★★★☆

8 Flicker 4:44
ピアノがリフを奏でる、やや緊張感があるフレーズ、ベースとドラムも入っている
ドラムは間が空いている、ボーカルとからみあう
電子音のリズムになり風景が変わる、ボーカルメロディは続いていく、ところどころきしむような音が入る
コーラスへ、うねるようなベース
だんだん変拍子感が強まる、ドラムに合わせてギターが入り、音の塊が膨れ上がっていく
うねりが強まる、ボーカルも温度が上がる、フレーズが高揚していく
間奏に入り、ギターソロ、どこか寂し気なフレーズ、やや無国籍なフレーズ
ふたたび電子音パートへ、どこか海の中、深海に潜っているような昏さと静けさがあるなぁ
バンドの色というか、ジャケットの印象もあるのかもしれないが
なんとなく水、氷塊、暗い水を感じる
ただ、そこには恐怖というよりも包まれる感覚がある
★★★★☆

9 Lachesis 1:54
ピアノ、繰り返す音、寄せては返すアンビエント的な
ボーカルが乗る、ハーモニーが厚い、そういえばけっこうハーモニーが多いが主ボーカルがはっきり立っている
ハーモニー部分のコーラスは中音域が抜け、高音に振られているので他の音によく混ざっている
インタールード
★★★

10 Neon Epitaph 4:31
繰り返すギターフレーズ、ややジェント的だが手数は少ない、超絶技巧ではない
メロディアス、オルタナ的か
うねるリフ、その上をボーカルが進む、波間を揺らめく、うねりを乗り越えていく
あるいはうねりを従えているのか
ややRush的でもある、Test For EchoやVapor Trails期にはこういったコード進行の感じが合った
ギターが手数を増やしていく、これはだいぶプログレメタル的な曲
曲のタイトルもカッコいい、ネオンの墓碑銘か
暗闇の中に光るネオンの墓碑銘か、確かにそういった音像、暗い音空間の中でメロディが光っている
★★★★☆

11 Untrodden 4:29
少し変拍子、シンセのフレーズとボーカルの拍がずれていくのかな
ミドルテンポで優美に曲が展開していく、どこか哀切な表情がある
ボーカルは淡々と歌う、声の圧力の緩急はあるが感情をむき出しにはしない
どこか浮遊感がある音像は一貫している
ボーカルがけっこう主役だが、バンドサウンドと絡み合う、各楽器のバランスが良い
出てくるべきところで出てくる、ボーカルだけが常に前面に出ているわけでもない
ボーカルメロディもあまり急な上下移動、上昇、高揚はない、だんだんとテンションが上がっていく
それでいながら緩急はしっかりついている、場面展開が巧みでありながら振れ幅が広い
メロディの感じは結構似ているというかそんなにバリエーションは感じないが聞き飽きない
音の表情や、組み合わせ方をずらしていくからだろう
管楽器の、機械仕掛けのオーケストレーションのような音で終曲
★★★★

Bonus Tracks

12 Fighters 3:37
急にメタリックなリフ、確かにボーナストラック的だ
曲間はあまり空かないのですぐ始まるが
リフが流れ込んでくる、本編とはちょっと違う雰囲気
エネルギッシュ、ボーカルはクールだがギターが熱を帯びている
テンポも早め、初めて赤、灼熱、熱量を感じた
今までは黒や青といった系統の音作り、静かで冷たさを感じることが多かったのだが
勢いよく刻んでいる、音は丸めだが刻みはザクザクしている
これはこのバンドらしい音作りなので他のバンドにたとえるのは適切ではないかもしれないが
ふと思いついたのはシガーロスとメタリカを混ぜたような曲
★★★★

総合評価
★★★★★
こうした系統のアルバムを今年は何枚か聞いたが、その中で一番メロディが好みだった
暗黒的だが邪悪さはあまりない、鬱々とした感じより美しさが際立つ
内向的に沈み込むのではなくドラマが心に沁みてくる感じ
曲によってプログレメタル的な音像があったりするのが面白い、その辺りの音楽的変遷を経てきたのだろうか
ゴシックメタルに分類されるのだろうか、どこか凛としたたたずまいもある
北欧だから雪や氷、森を連想するのかもしれないが、確かにそういう環境から出てきた感じがある
ところどころバイキング的なメロディも出てくる
後、コーラス、ハーモニーの使い方が上手い、きちんとメインの歌メロを立たせつつハーモニーをかなり使っている
声も含めたすべての楽器が絡み合って一つのドラマを作り上げている

ヒアリング環境
夜・家・ヘッドホン

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