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King Buffalo / The Burden of Restlessness

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キングバッファローは、2003年に結成されたUSはニューヨーク州ロチェスターのヘヴィ・サイケデリックバンドです。いわゆるストーナー系にも、オルタナティブロックバンドにも分類されています。ボーカリスト/ギタリストのショーンマクベイ、ベーシストのダンレイノルズ、ドラマーのスコットドナルドソンのトリオで、4つのEP、2つのフルレングス、そしてThe Sword、All Them Witches、Elderなどのツアーを通じてその名を成しました。本作が3作目。Bandcampのストーナーロックカテゴリで現在年間3位のベストセラーです。ストーナーロックシーンは奥深く、いろいろなバンドが眠っていますね。いくつかのメディアで目にしてジャケットが印象に残ったのと、1曲目の始まり方が良さげだったのでアルバムを聞いてみます。

活動国:US
ジャンル:ストーナーロック、サイケデリックロック、オルタナティブロック
活動年:2013-現在
リリース日:2021年6月4日
メンバー:
 ショーン マクベイ : ボーカリスト/ギタリスト
 ダン レイノルズ : ベーシスト
 スコット ドナルドソン : ドラマー

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総合評価 ★★★★

ストーナー、サイケ感はあるもののもうちょっとフレッシュな若手ロックバンド感も強い。インディーロック、オルタナティブロックの文脈に連なる音像でもある。アイアンメイデンの新譜が熟成されたビンテージワインだとしたらフレッシュなボジョレーヌーボーみたいな。味は薄いのだけれどその分フレッシュさがある音像。全体としてプログレ的な感覚もある。あまり肩ひじ張らずリラックして聴ける好盤。適度にエッジがあるが極端な攻撃性や暗黒感はなくメタル感は薄い、せいぜいハードロックぐらいの音像。テンポもミドルテンポで一定しているのでアルバム全体で心地よさが保たれている。

1.Burning 06:33 ★★★★☆

蠢くドゥーミーなSEから、空間的でフレッシュな単音リフへ。最初のつかみはOK。ストーナーというジャンルの一聴しての差異は「心地よさ」なんじゃないかと思うが、1曲目の出だしが気持ちいい、なんとなくカッコいいかどうか、そういう音響的な拘りや完成度がアルバム全体の完成度に直結している。ミドルテンポのビートに、空間を埋めるギターにダウナーなボーカル。ストーナーというよりもう少しオーソドックスなオルタナティブロックの感じがある。ベースはそれなりにヘヴィだが歯切れがいい。もう少しリバーブが効いているとストーナー、サイケ色が強まるが、歯切れがよいのでオルタナティブロック感がある。ギターサウンドはノイズがけっこう入っていて、ガレージ的な荒々しさとシューゲイズ的な浮遊感あり。フレッシュな、好きなものを詰め込んだ感じがして心地よい。

2.Hebetation 04:30 ★★★★

ミドルテンポのリフ、ストーナー的な雰囲気からスタートするが歌メロの雰囲気が違う。ギターの音の重ね方はうまい、ドラマ性がある。間奏のツインリードというか、サウンドレイヤーの重ね方はセンスが良い。

3.Locusts 06:27 ★★★★

空間的なスタート、ディレイが効いたギターがリフを奏でる。マニュアルゴッチングのようなスタート。これはモダンプログレだな。浮遊感があり、インサイドアウトから出てもおかしくない感じ。ただ、技巧的ではないし、音像も極端に尖っていはいない。心地よく流れる、酩酊する感覚がある。

4.Silverfish 03:42 ★★★★

ちょっとエスニックなリフ、適度に酩酊感のあるオルタナティブロック。

5.Grifter 05:17 ★★★★☆

アルバム全体として、この酩酊感は面白い、あまり深く考えなくても楽しめるというか、それなりにダウナーだけれどものすごくシリアスでもダークでもない、リラックスして聴ける感じ。この曲もダークだが音像ははっきりしているし、歯切れもいい。すごく暗黒というわけではなく、激烈な負の感情までいかない。あと、ギターのセンスがいい。

6.The Knocks 06:13 ★★★☆

ベースとボーカルからスタート、途中まで静かにしていて途中から大きな音になる、というパターンが多いな。ピクシーズ、ニルヴァーナの静ー静ー動ー静パターン、グランジパターンなのだけれど、大きな音というのがブラックサバス的、静かに始まってギターリフが大きくなる、みたいな構造。ボーカルのスクリームではなくギターサウンドで緩急がつく。この曲もだんだん熱量が上がってきた。ブルージーなギターソロ。ちょっとリフの構築が弱いか。

7.Loam 07:41 ★★★☆

ミドルテンポで穏やかな音像、ダウナー感よりどこか牧歌的な感じがする。バンドサウンドで浮遊感はあるものの、なんというか穏やかなカントリー的なメロディ。途中からギターはやる気を出すが、全体として牧歌的。

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