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VICTORIUS / Space Ninjas From Hell

能天気で突き抜けたメロディック・スピードメタル。安定のナパーム印。とにかく「楽しさ」と「カッコよさ」に振り切れていて、プロダクションも良好。メロスピ系統はあまりバリエーションがなく食傷気味だったのですが、アルバムを通して楽しめる娯楽殿高い作品です。宇宙×ニンジャという得体の知れなさも素敵。一聴して耳に残るメロディ満載の2020年愛聴盤。

2004年結成、2010年デビュー。今回のアルバムは5作目。とにかく陽性のメロスピ(メロディックスピードメタル)で疾走感も高い。明るく楽しいパーティーメタル。テーマがサムライ、ニンジャとSFが絡み合うエンタメに徹した姿勢も潔い(WASABIも出てきます)。Beast In Blackほどの衝撃には至りませんでしたが娯楽、明るさに全振りしている良盤。メロディも良質ですごくいいオーラを感じます。メロスピ、パワーメタル系で「今年の1枚」といえばこれでしたね。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2020リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Tale of the Sunbladers
いきなりの疾走からメロスピ
疾走感が凄い、わき目も振らず疾走していく感じ
いわゆるツーバス連打なのだがテクデスまではいかないものの、メロスピ、パワーメタル疾走としては最高速レベルの駆けっぷり
上メロも上質、ドラゴンフォース的なピロピロ感は薄目、ドラムの疾走の印象が強い
歌メロがだんだんと盛り上がっていく、素っ頓狂な音程移動は少ない、ジワジワと上がっていく感じが良い
ギターの刻みは人力感があって良い、きちんと人が一生懸命弾いている感じがする
硬派、筋肉を感じる
バスドラがずっと疾走してるのが凄いな、歯を食いしばっているのか、筋肉で笑顔なのか
お、コーラスでちょっと息切れが、ドラムが一瞬ダウンして、また疾走
いいね
★★★★☆

2.Ninjas Unite
ミドルテンポ(前の曲に比べれば)
いや、そこそこアップテンポだな、それなりに駆け足
ややオーケストラ、というかオケヒット感があるリフから
ボーカルとクワイアコーラスの掛け合いがじわじわとドラマを盛り上げる
ボーカルメロディの音階がだんだんと上がっていくね、ラプソディやハンマーフォールもこんな感じだったかも
いきなり低音からハイトーンへ、とか、キングダイアモンドみたいな飛び道具的な声はない(別にそれが良い悪いではなく)
じわじわとメロディが盛り上がっていくのでそこは落ち着き感がある、ドラムは落ち着きなく走り続けているのだが
朗々としたメロディ、ただ、サビが「ニンジャズユナイト(忍者たちよ団結せよ)」なのはどんな歌詞なんだ
俺忍者なのか、違うよな
ちなみに忍者と言われるとウィザードリーを思い出すんだよなぁ、あれだとアサシンの上位職だったっけ
もともとはD&DにNINJAという職業があったのか、なんかTRPGっぽさがあるよね
というか、欧米の方が思う忍者のイメージは今でもあれだと思うんだけど
★★★★

3.Super Sonic Samurai
侍が出てきたぞ、侍VS忍者なのか、共闘してんのか
キルビルも変な映画だったなぁ
こちらもアップテンポ、大見栄を切るようなギターリフ
ザ・メロスピ、これは先行MVも出ていたな
なんか楽し気な歌詞だな、レーザーだの刀だの
スーパーソニック侍って、そういえばワンパンマンにいなかったっけ
あ、あれはアトミック侍か
なんというかアメコミ的なノリの日本漫画みたいな、アメコミの中の日本文化みたいなノリ
嫌いじゃないですよ、そういえば前Whisperdの記事でこの曲貼ったっけな
アホやなー、と思いつつ、「これこれ!」という高揚感もある
このキーボードも癖になるね
★★★★☆

4.Evil Wizard Wushu Master
おお、Evil Wizardなるものも出てきたぞ、ウーシューという名前か
これもしかしてコンセプト、ストーリーアルバムなのか
ハキハキとしたパワーメタル、メロスピが展開されていく、なんだろうこの感じ
懐かしさと新鮮さがあるなl、ドラゴンフォースもちょっと違うんだよなぁ
これは王道というかメロディがド直球だなぁ、クローミングローズとかヘヴンズゲイトとかのいい曲ばっかり集まってるというか
あの時代のジャーマンメロスピってキラーチューンが数曲あって、残りはぶっちゃけよくわからない曲が入ってるアルバムが多かった
よくわからない、というか、実験的ね、たぶんメロスピ一辺倒でバリエーションを出す方法が確立されていなかったんだよね
別に本人たちは捨て曲のつもりで作っているわけではなく音楽性の拡張を目指したのだろうけれど、よく焦点が定まらないというか
そのあたりは様式美としてだいぶ手法が確立されてきた気がする
ここに結実しているなぁ
★★★★

5.Nippon Knights
今度は日本ナイツか笑 え、それが侍じゃないの?
皇宮警察のことかしら(違)
またUNITEという歌詞が出てきた、とにかく団結すべきらしい
こうやって茶化したくなるのはいいパーティーアルバムということですよ
メタルパーティーアルバム、いいねぇ
ハキハキしていて明るく楽しいメタル(だけど歌詞はヘンテコ)
Made In Japan! と来た
ああ! 何か既視感があると思ったらセックスマシンガンズだ! これセックスマシンガンズじゃないか
プロダクションはこっちの方が洗練されてるし、曲作りも洗練されてるけれど、マシンガンズ感があるね
あと、金切り声は少な目
★★★★☆

6.Shuriken Showdown
今度は手裏剣か、ツッコミたいがそろそろ「好きにしてくれ」という気分になってきた(良い意味で)
ほほえましい
どの曲もテンションが変わらないんですよ、まぁ、疾走感は一曲目が今まででは一番全力感があったけど
かといって聞き飽きない、なんだろう、似た感じなんだけど
心地よい音像が続いていく
ポップス好きな人はたぶんテイラースウィフト(新しいインディーフォークっぽい2作じゃなくて昨年以前ね)のアルバム聴くと心地よいんだろうなぁというのは分かるんですよ、個人的には好きでも嫌いでもないんだけど
同じようにパワーメタル好きなら流していて心地いいアルバムだと思うなぁ
あ、スクロールやグロールなどのエクストリームなアグレッションやダークでゴシックな感じはほとんどないのでそれをメタルに求めてる人には合わないと思うけれど
おお、この曲は微妙なマイナー感がいいねぇ、サビのメロディは哀愁もある
歌詞が「手裏剣ショウダウン」なのがアレだけど、通だねぇ
★★★★★

7.Wasabi Warmachine
ワサビ戦闘機械とな、最初は「スシ、ワサビ」みたいな会話が入ってるし
おお、無駄に疾走、ワサビはこんなに激烈じゃないぞ、ハバネロどころの騒ぎじゃねぇ
よほど辛いワサビなのか
中間部はJudas Priest的なザクザクしたリフとハイトーンボーカルの絡み合い
そういえばWar Machineってなんかあったな、、、あ、DioのAngry Machineか
あんなにヘヴィじゃないね、軽快かつ疾走感がある
パーティーメタルだからね、疾走感かつ軽快、跳ねるような(=ポップだ)感じは大事
うかれてるねぇ、とはいえLAメタル的な酒! 女! 薬! 的な浮かれ方ではない
忍者! 侍! ワサビ! ですよ
なんじゃそりゃ、なんだけどカッコいい、という、これぞパーティメタルじゃないですかね
混沌こそわが墓碑銘、マイノリティこそわがコミュニティ、鶏口となるも牛後となるなかれ
★★★★☆

8.Wrath of the Dragongod
シンフォニックでファンタジックな感じ
とはいえもうコミカルにしか聞こえないのが哀しみ
声がなんか面白いんだよね、別にこの曲だけ聞けばGamma Ray的な王道パワーメタルなんだけど
ああ、Gamma Rayっぽいな、Gammma Rayミーツセックスマシンガンズみたいな、、、よくわからん例えだ
この曲は比較的普通だな、そういえばこれやっぱりナパームレコードなのかな(調べる)
やはりナパームレコードか、そんな記憶はあったけれど
乗ってますね、ライブ楽しそう
キーボードの使い方も上手い、イイ感じで耳に優しいというか音の「ヌケ」を作っている
全体としては悪い曲ではないがちょっと重苦しいなぁ、バンドの持ち味としては
むしろパワーメタルとしてはシリアスで王道的なんだけどね
★★★☆

9.Astral Assasin Shark Attack
アストラルアサシンとはなんだ、アストラルアサシンシャーク?
忍者とアサシンの使い分けやいかに
まぁ、こっちは悪役なのだろうかね
いや待てよ、タイトルからするにスペース忍者フロムヘルだから、地獄から来たということなので忍者が悪魔なのかね
歌メロがちょっと明るいな、やや青春ポップス的なメロディというか、、、メロコア的というべきか
バッキングはメロスピ、基本、軽快さはあるもののアップテンポだな、展開が早い
軽やかに駆け続けている
全曲からの緩急がいいねぇ
★★★★☆

10.Space Ninja From Hell
タイトルトラック、大仰なリフ、疾走するが軽めのドラム
おー、ジャーマンパワーメタルをカリカチュア化、ディフォルメしたような音像
このボーカルの声質が爽やかというか、あまり力みすぎていないところがいいんだね
時代劇の剣戟のようなツインリード、でもシンバルはあんまり使わないなぁ
ニコマクブレインみたいにシンバルカンカンならしたら剣戟感が増すだろうけど、まぁあれやるとメイデン感が強くなりすぎるのかも
★★★★

11.Cosmic Space Commando Base
ちょっとディスコティークな曲、やや空間に余白がある、宇宙的
と思ったら普通に刻み始めた、ああ、ドラムが手数が少ないんだ
何だこの曲は、ポップっちゃポップだな、メロディが耳に残る、ヘアメタル的な感じだがメロディは哀愁味がある
いい感じの曲ですね、北欧的
これどこのバンドなんだろう、イギリスかドイツかな、北欧なんだろうか
(調べた)
ドイツかぁ、この曲は北欧的なメロディだなぁ、スウェーデンとかフィンランド
Beast In Blackあたりにも通じるメタルディスコサウンド
やはりドイツらしいかっちりした感じはあるけれど
歌詞が良く分からないけれど笑 コズミックスペースコマンドーベースってなんだ、サビの歌詞なんですが
宇宙的宇宙司令官基地、か?
★★★★★

12.Shinobi Strike 3000
探るような電子音にナレーションが乗る、けっこう長め
物語を語ってるな、クライマックスに向けての説明なのか
というか最終曲なんですが、エピローグというよりここでクライマックスなんかい
なんかこれから最終決戦ですよみたいな語りだな
いや、これ物語を延々と語ってるな、語りで終わりなのか
終わった、後日譚か
★★★

全体評価
★★★★★
掛け値なしに楽しめた、Beast In Blackほどの衝撃はないけれど(あれはボーカルの力量も編曲も凄い)
方向性が違う、こちらは楽しさ、娯楽性にステータスを全振りしている
パワーメタル、メロスピ好きなら文句なく楽しめる名盤
楽器隊の演奏はソツなく熱がきちんとあり、歌メロのクオリティが高い
楽曲と編曲で、曲全体、アルバム全体をしっかり聞かせてくれる良盤

リスニング環境
夜・バー・ヘッドホン

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