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Perfect Plan / Time For A Miracle

もともとは「人に選んでもらったプレイリスト」第二回目を選んでいる時にアルバムからのリードトラック「Time For A Miracle」のMVを見つけたのがきっかけ。残念ながらプレイリストには残れませんでしたが、爽やかな曲が個人的に好みだったのでアルバムを聴いてみました。個人的にはメロディアスハードロック(通称メロハー)をそれほど聞かなかったのですが、このプレイリストを作ったあたりから良さを再発見していくつか聞いています。イタリアのバンドで、イタリアらしいメロディアスで歌心のあるボーカル。メロハーの殿堂フロンティアレコードからのリリースです。一度フロンティアレコードのアーティストのMVを見るとどんどんYouTubeからレコメンドされるんですよね。

2020年リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Time For A Miracle
1曲目からアルバムタイトルトラック。壮大なイントロから始まるミドルテンポのナンバー
オーソドックスだややヘヴィなリフにシンセが絡み合い緊張感を高める
歌い上げるボーカル
メロディの展開は見事、サビでバックのギターと少しのコード進行変化でうまく雰囲気を変えている
曲が進むにつれてだんだんとコーラスが厚くなっていく
コーラスのバッキングで流れるギターのアルペジオが心地よい
もう少し楽器隊は間奏では弾きまくってほしいかも
とはいえ曲としては適度なコンパクトさでメロディー重視なので悪くはない
1つが突出したところはないがパーツの組み合わせが上手く耳に残る
★★★★

2.Better Walk Alone
少しアップテンポに、心地よいギターの刻み
粘りのある声が乗る、いい声をしている
曲調としてはブルース基調のハードロック
ベタだがサビまでの流れは美しい、キーボードの音色を要所要所でうまく使い印象に残る
歌が上手い、ファルセットの入れ方など
サビがきちんと展開してほしいところで展開していく感じ
間奏のメロディーも派手さはないがメロディを大切にしている感じ
ギターは1小節ぐらいは倍速で弾いても良いと思うが、比較的ゆったりメロディを弾くスタイルなんだな
食べなれたメニューだが丁寧に作られた一品という感じの曲
★★★☆

3.Heart To Stone
続けてイントロではさらに勢いが出てくる、少しテンポがアップしたか
歌が始まるとバッキングは静かに、ボーカルに注意を向ける
そこから流れるようなブリッジ、コーラスへ
緩急のつけ方が上手い
前曲はキーボードとの絡みがサビのフックになっていたがこの曲はボーカルとギターの絡み合いが主体
前2曲よりギターが前面に出てきている
ギターとボーカルの絡み合いが美しい
この曲はソロもテクニカルではないがメロディをうまくつないでいる
最後まで緊張感を持続
★★★★

4.Fighting To Win
雰囲気が変わりピアノのイントロから始まる
ピアノ、オーケストラのバックに合わせて歌い上げるバラード
メロディー展開が美しい
サビではアコギが入ってくる、開放感がある
ボーカルがのびのびしている、高音が心地よく歌が上手い
2番からドラムイン、ライブではライターの炎が揺れる風景が目に浮かぶ
クリシェ(常套句)をなぞっているのだがその選び方がセンスがいい
ブリッジのメロディーからのギターソロも良い、鳥が空を飛ぶような雄大さがある
テクニック的にはなんということがないギターソロにだんだん慣れてきた
ギターの音色にはそこそこ色気がある
バッキングはバンドアンサンブルに徹している印象
まとまった良曲
★★★☆

5.Every Time We Cry
キーボードリフから刻みとアルペジオの中間のようなリフへ
前曲でピアノが入ってきたことで雰囲気の変わるキーボード音がまたフックになっている
ボーカルはブルージーな歌いだし
サビで景色が変わる、サビのメロディー展開がうまい
この曲はコーラスのフックをキーボードが担当
コーラスはボーカルと合わせてギターかキーボードが切り込んでくるのがこのバンドのパターンらしい
この曲はベースがドライブ感を出して引っ張っている
間奏はドラムパターンも少し複雑
ブリッジの違うコード進行がうまい
そこから入ってくるギターソロはコンパクトながら秀逸
なだれ込むようにサビに
★★★★

6.What About Love
少しトーンダウンというか、前と似た感じの曲
キーボードの音色は違う
ややテンポは似ていてミドルテンポ
もうちょっとドラムがハキハキ叩いているか
悪い曲ではないが、アルバム内の流れとしても曲単体としても目新しさはない
2番(2nd Verse)ではギターは少し粘り気のあるリフでボーカルと絡みつく
サビがやや弱い、展開が読めてしまう
やや似た曲が続くというアルバムの曲順もある、単体で1曲だけ聞いたら印象はよりよくなるかも
★★★

7.Nobody's Fool
ブルース色強めのギターソロからスタート
ZZ Topを思い出すノリ、ZZ Topまでの歯切れの良さはないがブギ
曲の雰囲気は変わった、別の引き出しから出てきた曲という感じ
サビ前のブリッジ部でリズムを遅くするのは癖なのか
なんとなく流れる曲かと思ったら大サビがあった
大サビからギターソロへ、今まででは一番弾き倒している(それほどテクニカルではないが)
悪くないがこういう曲調ならもう少し楽器隊の音にエッジやキレが欲しい
★★★

8.Living On The Run
ミドルテンポのギターリフながらコード展開とアルペジオを挟む感じは練られている
歌メロもけっこう新鮮、違う感じ
サビ前のブリッジ~サビも良い
それほどテクニックに頼らずきちんと曲の緊張感を高めていくのは見事
作曲能力が高い
これは各メンバーがそれぞれの持ち味を精一杯出した感じの曲
間奏部分も全楽器隊が一群となって展開していく
各パートにアイデアが詰まっている、演奏したら楽しそう
プログレメタル勢のようなテクノカル集団と比べると
それほどプレイヤーとしての引き出しが多彩ではないが
各プレイヤーの「できること」をうまく組み合わせている
★★★★

9.Just One Wish
前曲からの流れがうまい
イントロからベタだが、雰囲気が変わった
曲調が変わったように感じさせるのがうまい
歌メロがどれもしっかりしている、ブルージーで破綻がない
分かりやすい転調や予想外の音の上下がないが
マイナーやテンションコードを要所要所に差し込んでメロディーが展開していく
サビがやや弱い、展開が読める
サビが弱いと間奏部も説得力を失う
コーラス前の「Baby」は耳に残る
分かりやすい曲なのでライブだと合唱が起きるかも
★★★

10.Don't Blame It On Love Again
曲名を最初にコール、ベースがグルーブしている
ありがちな展開だがコーラスの展開は秀逸
安易にマイナーに落ちず緊迫感を引っ張ってじらしながら最後にメロディ展開する
この曲はフックがある
ヴァースでの音圧の抜き方とブリッジでの音圧の増やし方もいい
ボーカルが立つ場所、楽器隊が出る場所、それぞれある
こちらも間奏前にバンド一丸となって場面転換
そこからソロへ、短いながらメロディアス
そしてサビへ
サビがシンプルだが覚えやすい
ただ、ちょっと同じフレーズを連呼しすぎか
★★★☆

11.Give A Little Lovin
アカペラからスタート
そこそこ細かい刻みでうねるギターにハイトーンボーカル
7曲目に近い感じ、アップテンポのリズム&ブルースの枠の中で展開していく
ブリッジでキーボードが出てきてうまく雰囲気を変えている
良かったころのMr.BIGみたいな感じもある、テクニカルさはないが
ソロの後半ではギターがちょっと頑張って早弾きっぽいフレーズを入れている
リズムパターンは多彩、アンサンブルで聴かせるバンド
リフとブリッジは明るいのでそこでうまく場面展開していく
アイデアが盛り込まれた曲
★★★☆

12.Don't Leave Me Here Alone
曲名からベタ、バラード
イントロも大げさで、そこから哀愁のクラシックギターへ
どマイナーな感じで、アルバムの中では違った感じ
ボーカルが歌い上げるが1番のサビではそこまで熱はこもっていない
そして哀愁のクラシックギター、ラテン的な曲を意識しているのだろうか
ボーカルはうまく歌いこなしているが、この曲だともうちょっと熱を持って歌い上げてもいいかも
統制が取れた感じは心地よいが、曲としては突き抜けてこない
フレーズは印象的、丁寧に作られた曲
強烈なハイトーンシャウトなどはないが、切々とした哀愁がある
ボーカルも含め、全員安定感はあるが、テクニックで息を飲む瞬間がないのが惜しい
どこかでもう少し高音の絶唱があれば突き抜ける曲
★★★☆

アルバム全体評価
全曲クオリティが高く、一曲一曲で表情も変わる
演奏力は耳を惹くものは少ないが、作編曲能力は高い
これがバンドサウンドか、と納得できる1枚
それほどハード&ヘヴィでもないので聴けるシーンが多そうだが、
個人的に愛聴するにはやや演奏面が物足りない
とはいえ、演奏力での聴きどころがない中でアルバム全体を聴かせきる力は見事
★★★☆

リスニング環境
早朝・自宅・ヘッドホン

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