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詩 「五月の茶臼山」(2022)

茶臼山を登っているとき、
わたしの登山靴は白い足跡を残してゆく、
山の頂上にしづかな展望台がある、
そこでわたしは写真を撮っていた。
眼をみぎてとおい山の方を眺めると、
ちっぽけな芝桜がひらひらと風にひるがえっているように思われた。
空には風が流れている。
わたしは三角点を眼に焼きつけてから、
どこというあてもなしに、
ぼうぼうとした山を下山していた。
わたしはときどき、すべての人々から逃れて孤独になりたい。
そしてわたしの心は、自然を愛することによって慰められる。

わたしの心はいまでも、人気のない寂しい山道を歩いているのだ。

写真『Photography at Mt. Chausu, Aichi, Japan』(2022) より


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